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1 命門学院(3)

Mは大声を無視して、祐子のスカートの下に左手を素早く伸ばした。ほんのりと湿り気を持った若い肌が、手のひらにぴったりと張り付いてくる。
「アッ」と小さく上げた声にお構いなく、手を股間へと伸ばす。祐子の両腿が固く合わせられる。強引にショーツの下に潜り込ませた指先に、髭の剃り跡を撫でる感触が伝わる。反射的に横を向き、祐子の横顔を見つめた。真っ赤に染まった頬が微かに震えている。

MG・Fのノーズが左右に振れた。思い切ってブレーキを踏む。アンチロックブレーキの制動力が四輪をコントロールし、車は路肩に沿って危なげなく止まった。
ぽつぽつと降り始めた雨が、上気した二人の頬に落ちた。
「祐子、ショーツを脱ぎなさい」
股間に手を入れたままMが命じた。
「いや。恥ずかしい」
消え入りそうな声で、うつむいたまま祐子が言った。
「何も恥ずかしいものなど無いわ」
鋭く言ってMは、右手で自分のアイボリーのスカートを乱暴にまくり上げた。腰をずらして、股間を剥き出しにしたままスカートを止めた。いつものようにショーツは穿いていない。両足を広げ、黒々とした陰毛を細かい雨に打たせた。熱くなった性器に冷たい雨滴が当たった。

「さあ、祐子も脱ぎなさい」
促された祐子が腰を上げて、渋々ショーツを下ろした。
陰毛を剃り上げられた股間に小さな水玉が幾つもできていく。可愛らしい割れ目から、小さな性器がピンク色の顔を覗かせていた。
「自分で剃ったの」
「そうよ」
「どうして」
訊いてみてからMは、問いの虚しさに思い当たった。
「三年前の夏。鉱山の町に来たMと同じようになりたかったのよ。勇気が湧くから。Mが楽にして上げたカンナのことを忘れたくないから。私が殺した産廃屋のことも忘れたくないから」
あの夏の出来事が、凄まじい速さでMの脳裏を駆け巡った。カンナに剃り落とされた頭髪と陰毛の感触が、一番はっきりとした記憶となって甦る。その、つるつるの股間を吸って窒息死したカンナの安らかな死に顔が、悲しく思い出された。
祐子はまだ、あの時の影を引きずったまま生きていたのだ。祐子への愛おしさが募る。
これまで、何回となく祐子と会っていたが、話らしい話をしてこなかったことが悔やまれてならなかった。

「友達はいるの」
また陳腐なことを訊いたと思ったが、祐子ははっきり首を横に振った。
「独りぼっちなんだね」
最悪の言葉に、自分自身腹を立て、祐子の股間に置いた手で無毛の陰部を優しく撫で回した。
「先輩がいるの」
ぽつりと祐子がつぶやいた。
「高校の先輩なの。だから、高校に進学してから先輩になるんだけど、今から先輩だって思ってるの」
訳の分からない言葉だったが、明るい声のトーンが救いになった。
祐子の言う先輩とは、ひょっとして男ではないかと思ったが、聞きただすことができなかった。

Mは、胸の底に沈んだ疑問を無視してアクセルを踏んだ。最後の急坂を一気に上り、MG・Fは水道山の頂まで登り詰めた。青々とした芝生の広がる配水場の入り口に、洋風建築を模して大正期に建てられたという水道記念館が、瀟洒な姿を見せている。
雨はやみそうもなかった。

「トップを掛けるわ」
記念館の前で車を止めたMは、祐子に声を掛け、座席の後ろに折り畳んだ黒い幌を引き上げた。広々と野外と通じ合っていた車内が、途端に狭苦しい空間に変わる。二人の女が体温と共にあげる温気がむんむんと匂い立った。
鬱陶しさに首を振って、Mはエアコンのスイッチを入れ、力強くアクセルを踏み込み、長い下り坂をスピードを上げて下った。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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