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- 2010/10/06/Wed 16:00
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- 第2章 -ピアノ-
「勃起してくれたんだね」
「下ろしてください。もう嫌ですよ」
「怒らなくてもいいでしょう。事実なんだから。私は嬉しく思っているのだから、恥ずかしがる必要なんてないじゃないの」
「でも、初対面で交わす会話だとは思えませんよ」
「君はペニスみたいに、かちかちに固いんだね。私だって大人なんだから、人を見て話をするわ。君は見くびられたと思うわけ」
「いいえ」
「私は女として、男の君に話し掛けているのよ。それとも、女と性の話をするのは嫌いなのかな」
とんでもないことになったと僕は思った。もちろんピアノと同様、性にも強い関心はあるし、毎晩のようにマスターベーションもしている。しかし、大人の女から露骨に性の話をされても困る。まるで誘惑されているようじゃないか。
「私は、ピアニストを誘っているのよ」
運転しながら僕の方を向いて、ゆったりとしたアルトを響かせた彼女の目をじっと見つめた。
絡み合った二人の視線がスパークし、股間で膨れ上がっていたペニスが暴発した。暖かい液体が腿の付け根に広がっていく感触が、とにかく不快だった。
そんな状態に気が付いたのか、付かないのか。ちょうど差し掛かった渓谷沿いのカーブで、彼女は視線を前方に戻し、大胆にハンドルを切った。
僕は射精したことを気付かれてもいいと思った。きっと、彼女も喜んでくれるはずだと思ったのだ。ほんのちょっとの時間しか経っていないのに、僕は大した変わりようだった。ピアノも性も、個人教授でなければ上達しない。
僕は晴れやかな気分になって、オープンの車内に吹き込む寒い風に向かって、わっと大きな声を上げた。
隣で運転する彼女が、くすっと笑ったような気がした。