2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

3 マスターベーション(2)

彼女に一部始終を見られたと思い、恥ずかしさに全身を赤くして暗い部屋の中央に座り込んだ。きつく目をつむって激しく頭を振ってみたが、あかんべーをした顔と朗らかな笑い声が、脳裏を占めたままで決して消え去ろうとしない。
なぜ彼女は、母屋の隅にある僕の部屋の前まで来たのか、なぜ僕の部屋を知っていたのか。彼女は父に歯の治療をしてもらい、そのまま帰るのではなかったのか。案内して来た僕に挨拶するなら、父を通してすればいいのだ。と思った瞬間、父の顔が頭に浮かんだ。

「チチの仕業だ」と、僕はうめき声を出した。父が僕の部屋を教え、訪ねてみるように言ったに違いなかった。しかし、部屋の外から唐突に回り込んで来るなんて非常識もいいところだ。それにもう暗くなっていたのだから、若い女のすることではない。いかにも常識的で優等生的に非難してみて、はたと思い当たった。所詮彼女は僕の常識など通用する相手ではなかった。そう思ってみて僕は、やっといくらか気分が楽になった。

二人に対する怒りは静まってきたが、恥ずかしさだけは消えることもなく、何度も繰り返し、波のように大きくなったり小さくなったりして襲って来た。その度に萎んでいたペニスまでがムクムクと、大きくなったり小さくなったりしたのだから恥ずかしさに拍車が掛かった。
確かに僕のペニスは、彼女につかまれたことがあったし、不用意に勃起したことも喜んでくれたのだ。しかし、狂ったナルシスのようにマスターベーションに耽る姿まで好ましく思ってくれたと、うぬぼれることはできなかった。

「まあ、二度と会うこともないんだから」と慰めてみたが、却って悔しさがつのる。せっかく知り合えた素敵な大人の女を、手放したくはないというスケベ心が見え見えで、やけに情けなくなる。
「えいっ、ままよ」と開き直ってパンツを脱ぎ捨て、電気をつけた。
眩しさに目をしょぼしょぼさせながらピアノの前に座る。素っ裸のままペニスを直立させ、スケルツォを弾き出す。音色もリズムも知ったことではない。ペダルも使わず、両足を高く上げ、打鍵しながら両腿でペニスを愛撫する。僕のスケルツォが僕の官能を隠微に盛り上げるのだ。

最後のDesをメロメロになって置いたとき、ヒリヒリする亀頭の先からシュッとまた射精した。「ざまーみろ」と僕は思い、鍵盤の上まで飛んだ精液を身体を屈めて舌で舐めた。塩辛い味が舌を刺し、生臭い臭いが鼻を打った。僕は別にピアノを神聖なものとも思っていないし、音楽をしていくことに、家族の誰もが賛成していないのだから別に構わない。僕の性で彩ったピアノとショパンをぜひ、見ることもない観衆に見てもらいたくて、僕は性にまみれた裸身を傲然と反り返らせ、黒いガラス窓に映った自分自身の目を睨み付けた。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

最新記事
カレンダー
09 | 2010/10 | 11
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
free area
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR