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10 囚われ人(5)

「ピアニストはまだ、性の本質が分かっていないみたいね。自由だろうが不自由だろうが、性の喜びには関係ないのよね」
「でも、あなたにとって性の喜びがあるとは思えない」
「やっぱりピアニストの視野が狭いとしか言えないわね。性の喜びには何でも有りって言ったでしょう。ダイレクトに、ペニスを擦り付けて得られる喜びもあれば、想像力の高まりの中で得られる喜びもあるのよ」
「一人の方が想像力は高まりますよ」
「君のマスターベーションのことかな。確かにそういう面もあるけど、やはり人と人との関係の中にしか、本当の官能の高まりはないと理解した方が正しいのよ。多分煩わしくもあり、傷つくこともあるけれども、人と人とのせめぎ合いがあって初めて、性は淫らでおどろおどろしく魅力的なものになるものよ」

「あなたの鎖に繋がれた姿や、肛門に差し込まれた異物が理想的な性とは思えないな」
「ただの好みの問題よ。私は刺激的な方が好き。ただそれだけ。別に無理強いはしないわ。でも、私を哀れんだり恥ずかしいと思ったりはして欲しくはないの」
「あなたの言うことには、やはり無理がある。できることなら、僕は、大好きなあなたと、ごく普通に、愛し合いたいと願っているんです」
僕は頬を赤く染め、猛り立ったペニスに途惑いながら、しかし、はっきりと言ったのだ。
「そう、無理かな。でもいいや。鎖に繋がれた私の姿をよく見ておいて。そして、官能に燃え立つ身体をよく記憶しておいて欲しいの。私は誰にも独占されはしない。ただ、全身で楽しめる環境を求めているの」
Mが言い切ったとき、助けを求める父の声が彼女の名を呼んだ。
反射的に、鎖を鳴らしてMが急ぐ。思うようにならない父のペニスを、口に含んで甦らそうというのだ。

はっきりとMに問い掛けた、求愛に対する答えはなかった。
僕は分からない。息子を前に性の喜びを追う両親の姿は、考えようによっては微笑ましくもあり、僕が自立さえすれば見過ごせることだとも思うが、それを手助けするMの異様な姿は、とうてい容認できるものではなかった。
それが、官能のプリマのボランティアイズムなのか。僕には理解できない。なぜ彼女は僕に、二人だけの普通の性を与えてくれないのか。
寄る辺ない愚痴ばかりがつのり、微かに憎しみが芽生えた。
蔵屋敷の中で絡み合う素っ裸の三人を後に、出口の所まで行って振り返った、服を着た僕の目に、荒廃しきった光景だけが白々と寒く映った。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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