2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

6 官能の宴(3)

「君は立派な男よ。なによりも決断力がある。大事にしなさいね。いずれ私の敵になるんだから」
激しく首を横に振った口に唇が重ねられ、ゲランのルージュに僕は赤く染まる。口から首、首から胸、特に乳首を這う彼女の舌はすばらしく、また僕は射精しそうになる。お臍に入って来た舌にくすぐったくなり、ようやく恍惚感を逃がしたとき、ペニスが口に含まれた。たまったもんじゃないと思い腰を折って跪くと、やっと口を離して、のし掛かって来る。僕は男だと自分に言い聞かせ、体を入れ替えてのし掛かると、ペニスの先が彼女の陰毛に触れ、また射精しそうになる。慌てて腰を浮かすと、Mの指が優しくペニスに添えられ、僕を誘導する。

なにもかも一切分からなくなったとき、ペニス全体が温かく柔らかなヒーターの効いた宝石箱の中に迎え入れられた。その滑らかな温かさを感じた瞬間、僕はまた射精した。
僕は彼女を抱き、いや、彼女に抱かれ至福の時を過ごした。時間など、止まってしまえと思ったが、時とともにペニスは急速に萎んで行く。おもしろいことに、あれほど意気軒昂だった士気も萎む。

「妙にしょぼんとしてるわね。初めてだったんでしょう」
「もちろんですよ」
「別に威張ることではないと思うけど、でも、君は素敵だったよ」
彼女の、賛辞と思える言葉を聞いても、僕は別にうれしくはなかった。
きっと、あっけない幕切れが、新しい舞台への期待に変わるまでには時がいるのだ。
例えば、今日の天気は雪だが、いずれは晴れる。そう思うことにしたのだ。


「さ、歯医者さんの所へ行きましょう」と彼女が言った。
その一言で、忘れていた父のことが急に思い出された。
「こっちよ」と彼女は、まるで自分の家のように座敷へと誘う。そこは父の趣味の王室だった。

二十畳の座敷に水道とガスを引き、バス・トイレを据え付け、思うままに紙漉き三昧の毎日だった。しかし、長続きしているわけではない。
紙漉きの前は木工、木工の前は焼き物、焼き物の前は書道、書道の前はおきまりのゴルフだったのだ。とにかく、これといったポリシーのないままに、本業以外の世界に憧れているようだった。患者の口の中ばかりを見つめる、短調な仕事のはけ口を見い出したいがための趣味三昧のようだった。
十八年間付き合って来た僕にも、その趣味の遍歴のいわれはよく分からない。まだ、生け花一筋の母の生き方の方が、いくらか分かりやすかったと思っている。

プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

最新記事
カレンダー
10 | 2010/11 | 12
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
free area
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR