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- 2010/11/22/Mon 15:00
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- 第2章 -ピアノ-
氷みたいに冷たく、身体に積もった雪さえ凍り付いているMの裸身を抱いて、父に指示されるまま、蔵屋敷の隅にしつらえてあるユニットバスへ向かった。
部屋を横切る間、ヒーターのよく効いた室温が暖かく僕たちの裸身を包んだが、彼女の冷え切った身体は、固く凍えきったままだ。
プラスチックの薄っぺらなドアを押し開け、バスタブの中にそっと彼女を座らせる。青白く凍えた肌に、皮膚を噛んで縦横に走った黒い縄が痛々しいが、後ろ手に緊縛された姿のまま下ろし、父の命ずるままに低い温度のシャワーを全身に浴びせた。
「ゆっくり、まんべんなく、時間を掛けて湯を掛けるんだ」と父が指示する。
五分間くらい、ぬるい湯を掛け続けると、青ざめた肌が薄いピンクに変わってきた。緊張し縮こまっていた肌も、柔らかくリラックスしてくる。なんとも言えぬ官能的な、甘い香りさえ漂ってきた。
「温度を上げて」と父が命じ、僕はシャワーの温度を四十度に上げた。湯の量は減ったが、もうもうとわき上がる白い湯気の中で、黒い縄に緊縛された肌が豊かに膨らみ、赤く輝いてくる。
熱いシャワーを、二分間ほど浴びせ続けたとき、
「ありがと。もういいわ」と言って、彼女が立ち上がった。
Mは全身から湯を滴らせ、黒い麻縄で縛られた豊かな乳房を前に押し出すようにして長い足を上げ、無造作にバスタブを乗り越えた。僕はシャワーを持ったまま、慌てて道を空ける。当然のようにうなじを上げ、彼女は傲然と座敷の中へ歩み出した。
呆然として後ろ姿に見入る視線の先で、ほんのりと赤く染まった尻がセクシーに揺れる。股間を割った二条の黒い縄が、やけに淫らに感じられた。
急いでシャワーを止め、すぐ振り返った僕と、やはり後ろを振り返ったMの目が合った。尻の筋肉を美しく緊張させた見返り美人は何も言わなかったが、いたずらっぽく笑った顔には、もう自信たっぷりな彼女が甦っていた。「まかせてよ」と言うように片目をつぶった後、彼女は三歩前に進み、ゆったりとソファーに掛けた母に静かなアルトで言ったのだ。
「危うく死ぬところだったけど、冷え性になり掛かったところで済みましたわ。これで、奥様のいう始末は着いたと思いますが、いかがですか」
黙ったままの母に、なお言いつのる。
「あなたの気が済んだか済まないかは知りませんが、言いなりになった私に、この縄目は失礼ではありませんか。あなたの手で解いてください」
後ろ向きのMが身体を回転させ、僕に正面を見せた。後ろ手に緊縛された両手を尻と一緒に母に突き出し、僕の顔を見てまた片目をつぶった。