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- 2010/11/09/Tue 15:00
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- 第2章 -ピアノ-
泣きたいほどの快感が背筋を突き抜けそうになったとき、ペニスの下で陰部をなめ回している父の口から「ほっ」と言う声が漏れた。ひょっとすると性器に包まれたペニスの根元を、父に舐められたかもしれないと思った。
高まりきろうとした快感が、急に逃げ去ろうとした瞬間、背後で獣の遠吠えが聞こえた。
突然、部屋中に満ちた吼え声と足音とともに、剥き出しの尻に、飛び掛かって来る爪の感触があった。射精寸前で起こった事態が飲み込めず、慌てて左右を見る。
目の前のほっそりしたMのウエストの横から、父の顔と彼女の陰部の間に割って入って来た、シェパードのケンの顔が見えた。
「ヒー」という高い声が、父のペニスをくわえているはずの口からほとばしり、高く掲げられていた彼女の尻が急に落ちた。
途端にペニス全体が強い力で締め付けられ、コンクリートで固められたように、彼女の体内に釘付けされてしまった。
怖いもの知らずの彼女は、まるでドラエモンのように犬に弱いらしい。ケンに股間に潜り込まれたショックで痙攣を続ける彼女の性器は、万力のようにペニスをくわえ込んで放さないのだ。
「あなた方は、とんだ茶番を見せてくれるのね」
背後から冷たく母の声が聞こえた。ぎょっとして体を起こそうとするが、Mが体内にくわえ込んでいるペニスを抜くことが出来ず、目を白黒させるばかりだ。「奥様、犬を繋いでください」
どんなときでもMは大したものだ。幾分震えるアルトで、素っ裸の三人を代表して真っ先に口を開いた。しかし、ペニスをくわえ込んだ性器の緊張は衰えることもなく、小刻みに硬く痙攣を繰り返すばかりだった。
「仕方がない、こんな際だ。診療所から麻酔薬を持って来なさい」
一番下であお向けになったまま、状況を察した父が冷静な声で言った。たとえ素っ裸で後ろ手あぐら縛りにされ、陰部をなめ回していたとはいっても、父は歯科医だ。いざというときの落ち着き振りは、やっぱり見上げたもんだと僕は思った。
「まったく、どうしようもない人たちなんだから」と言う母の声が背後に遠ざかり、入って来たときには聞こえなかった自動ドアの音が微かに聞こえた。
「覚悟していてくださいね。妻は私には甘いけれど、周りには結構きついんですよ」
まるで世間話のように、彼女の股間から父が話し掛ける。
「仕方がありませんわ。どうも、私は犬アレルギーがひどくって困ってしまうんです」
ペニスをくわえ込んだ尻の割れ目から続く、滑らかな背筋の先で小首をかしげて話す彼女の声が、やけに遠く寂しげに聞こえた。
やがて戻って来た母が、重なり合った三人を憎々しげに見下ろす。
母は、父の股間に頭を入れたMの前に屈み込んだ。ガーゼに浸した麻酔薬を口と鼻に乱暴に押し着ける。まるで父の股間を拭っているようにも見える。異様で陰惨な光景だった。