2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2 オートバイ(8)

ソフトドリンクになった酒を、無造作に口に含み飲み下した。汗ばんだ肌が熱くなり、大粒の汗が噴き出してくる。
「話の続きをしてやろう」
「なんの話だ」
「五年前の映子の話しに決まっているだろう。まだ続きがあるんだ。まあ、聞け。
ジジイ教師は、脱糞してしまった映子を許さなかったんだ。その場で、セーラー服を脱いで、全裸になるように命じた。見せしめのため、晒し者にすると言うんだ。唇を噛んだ映子は、命じられるままに赤いスカーフを取り、セーラー服を脱いだ。真っ白なブラジャーを外すと、両手で乳房を隠した。すかさずスカートも脱ぐように叱責された。仕方なく胸を被った手を下ろし、スカートを脱いだ。素っ裸になって、股間と乳房を隠している映子を見て、クラス全員が溜息を洩らした。美しかった。射精してしまっていた俺のペニスが再び勃起してきた。ジジイ教師は憎々しげに、胸と陰部を隠した映子の細い両手を取って、無理やり背中にねじ上げると、縄跳びの縄で両手首を後ろ手に縛り上げたんだ。余った縄で乳房の上下もきつく縛った。そのままの姿で一時間、教壇の横に立たせたんだ。おまけに、十分ごとに九十度ずつ姿勢を変えるように命じた。素っ裸で後ろ手に縛られた映子は、唇を噛みしめたまま、俺たちに恥ずかしい姿を晒したんだ。裸身が向きを変える度に、股間でそよぐ黒い陰毛や、尻の割れ目に沿って走る無数の鞭打ちの痕が、陰惨に俺たちの目を打った。壮絶な美しさだった。なあ、バイク、想像して見ろよ。俺はその一切を見たんだ」

嘘に決まっていると、バイクは思った。天田は自分を挑発するために、映子をネタにした猥談を始めたのだ。しかし天田は、目の据わった真剣な表情でバイクの顔を見つめた。
「俺が嘘をついていると思っているだろう」
「そうだ。嘘に決まっている」
「そう思っていればいいさ。さっきお前に言ったとおり、今晩俺は五年後の映子を確認する。お前は遥か先に夢をつなげ。でもな、したいことはすぐしてしまわないと、無くなってしまうんだ。お前は情けない奴だ。でも、いい奴だよな、ハハハハハ」
天田の含み笑いがどんどん大きくなる。

バイクは耐えきれなくなって立ち上がった。ズボンに締め付けられた勃起したペニスが痛んだ。目ざとく股間の膨らみを見付けた天田が、もう一度高らかに笑った。
「ガムを買いに行く」
つまらない言い訳を言って出口に向かうバイクの背に「せっかく買いに行くなら、オートバイを買え」と、かん高い天田の声が飛んだ。

火照った身体でバイクは、自転車のペダルを踏み続けた。次から次に吹き出す汗を、渓流を下る夜風が心地よく払ってくれる。
街に向けて二十分ほど行ったところにコンビニエンス・ストアがあった。
冷房の効いた店内に入り、熱を持った身体を冷やす。買ったばかりのガムを噛みながら書棚から雑誌を取って目を通した。何気なく開いたページには、全裸で縛られた女のグラビアが拡がっている。黒々とした陰毛を割って、股間を走る縄が卑猥だった。頻りに耳を打つ、太いエンジン音に気付いて目を上げる。目の前の電話ボックスの横に止まった、光り輝くオートバイが目に飛び込んで来た。カワサキの400CCの新車だった。電話ボックスの中には、ライダースーツの男の背が見える。駐車場を出る車のライトを浴びて、オートバイのシートの上で、黒いヘルメットがキラリと光った。腹の底まで響くエンジン音がバイクを誘う。

したいことはすぐすると言った、天田の言葉が甦る。バイクは雑誌を手にしたままレジに向かう。釣り銭を見ようともせず、窓の外の電話ボックスを見つめ続けた。受話器越しの男の会話は、こじれているようだった。しゃがみ込んでメモを取っている後ろ姿が見える。
バイクは急いで店を出て、電話ボックスに近付く。エンジン音が心地よく耳に響く。近付く足音など、バイク自身にさえ聞き取れない。電話を掛けに行く振りをして、電話ボックスの前に立つ。番を急かすかのように、ボックスの中を覗き込んだ。中の男は気付きもしない。頻りに何事かを送話器に訴えている様子だ。女でも口説いているのかも知れない。

バイクの慎重な行動はそこまでだった。
素早くシートの上のヘルメットを取って、頭に被りながら、素早くオートバイに跨る。両手でしっかりハンドルを握って車体を立て、左足でサイドスタンドを蹴る。しっかりとクラッチを切ってギアをローに踏み込み、アクセルを開ける。二千回転を目途にクラッチを合わせると、車体は竿立ちになりそうになって急発進する。慌てて体重を前輪に掛け肩の力を抜く。軽く右に切ったハンドルにスムーズに従い、オートバイは市街地に向かうアスファルト道路を疾走していた。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

最新記事
カレンダー
02 | 2011/03 | 04
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
free area
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR