2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

3 演技者の記憶(5)

場末のクラブの狭いフロアを、スポットライトの白い光が照らし出している。目に眩しかったが、チーフは目を瞑るわけにはいかない。闇の中で取り巻く客が喜ばないからだ。
チーフは眩しさに耐え、大きく開いた両足に力を入れた。素っ裸だった。これまで、さんざん宏志に鞭打たれた剥き出しの尻が、ヒリヒリ痛んだ。

後ろ手に緊縛された裸身を真っ直ぐに伸ばし、次の演技に備える。
今夜のショーは、ちんぴらに拉致された恋人同士がテーマだった。ちんぴらたちの前で、恋人を全裸に剥き、後ろ手に縛り上げて折檻することを強制された男が、最後は自分自身まで全裸で縛られ、お互いに緊縛されたままセックスするよう命じられるという、陳腐な台本だった。

ただし、二人とも縛られたまま絡みに入るという設定は、今回が初めてだった。
最近の宏志には珍しく、舞台に凝った。最後に二人が絡み合う場所を、二台の脚立に渡した板の上に決めたのだ。高さは二メートルもあった。それに、二人とも首を、犬のように括られることにした。マネジャーのママは危険性を指摘して反対したが、ちょっとやそっとの刺激では喜ばなくなっていた客の反応を言い立て、強引に宏志が舞台設定をしたのだった。
二メートルは、思ったよりずっと高い。二つの脚立に渡された板から十字型に張り出した、幅三十センチメートルの板の上で後ろ手に縛られたチーフの裸身が震えていた。大きく開いた股間が、緊張した両腿の筋肉の上で微かに揺れる。広げた両足の裏で踏み締めた板の感触が、ともすれば無くなってしまいそうな気さえした。恐ろしくなるほどの高さだ。

スポットライトを浴びた両の乳房が、怪しく光っている。小さな乳房を大きく見せようと、黒い縄で菱形に縛り上げられていた。細い首筋には、宏志が掛けた一条の縄が天井の梁へと続いている。首を括られる恐怖に身動きすらできない。
息を詰めた大勢の人の気配が、周りの闇の中から熱を帯びて立ち上って来る。
背後で人の気配がした。宏志とママが脚立を上って来たに違いなかった。気持ちの悪くなる感触で、足下の板が揺れた。大きく開いた股間が寒い。

素っ裸の宏志はママに後ろ手に縛られ、脚立の上に追い上げられて行った。ママの持つ鞭が、脚立を登る剥き出しの尻でピシッと鳴った。胴を二巻きした二本の縄が股間をくぐり、両側からペニスを挟んで胸と腕を縛った縄で止められている。脚立を一段上る度に、股間で揺れるペニスが不快だった。なぜ、今、俺はこんなことをしているのかと、宏志は思った。書き溜めてきた青春小説の主人公とは、比べるまでもない。米粒ほどのロマンもなかった。醜悪な姿だ。
天井から降りた首吊りの縄を、ママが広げて宏志の首に通し、喉元で輪を締めた。客の注意を引くべく、これ見よがしに作ったものだ。チーフの細い首縄と比べ、太い麻縄が凶々しい。縛り首に使うロープと同じ作りだった。

振りかぶった鞭で鋭く、急き立てるように宏志の尻を打ってから、ママが脚立を降りた。
足下の揺れが一段落するとすぐ、心持ち突き出したチーフの尻の割れ目に、宏志の股間が触れた。固い陰毛の感触が素肌を刺し、チーフの白い裸身が震える。
後ろから張り付いて来た宏志の口が、喘ぎながらうなじを這う。チーフの背中を、熱い刺激が股間へと下って行った。
宏志の仕草は、いつもとまるで違う。戸惑って震える尻に、萎びたペニスが擦り付けられた。
小さな喘ぎ声が、耳元で言葉になる。

「チーフ。もう俺は耐えられない。こんな猿芝居はもう懲り懲りだ。今夜は嘘は無しだ」
宏志の熱い息が耳朶に掛かり、少しずつ勃起してきたペニスが股間を責める。かつて感じたこともない高まりが、身体の奥から首をもたげてくる。めらめらと燃える官能の炎が、内側からチーフの股間を焼く。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

最新記事
カレンダー
02 | 2011/03 | 04
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
free area
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR