2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2.神ながらの道(9)

「ねえ、M。シュータの話は飽きたの」
媚びるように裸身を寄せてきた祐子が耳元で囁く。
「だって、よく知らないんでしょう」
「知っていることだってあるわ。幹部の名前はみんな知っている。まず睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、そして極月。これで十二人でしょう。弥生は広報担当の幹部なの。だから顔を知られている」
「何だ、陰暦の月名じゃない」
「そうよ、暗号で呼び合っているの。本名なんて明かさないわ。それぞれの幹部が月曜日から日曜日までの七人の部下を持つ。全部揃えば九十六人になるわ。実際の仕事は部下がするから組織の全容は幹部にも分からない。知っているのは修太とピアニストだけよ」
「まるでテロ組織のようね」
何気なくつぶやくと、祐子の裸身がビクッと震えた。

「まさか、祐子。本当じゃないでしょうね」
Mが身を起こし、祐子の顔をのぞき込んだ。祐子の裸身が小刻みに震え、瞼が痙攣する。
「分からないわ。でも、シュータは市に過激な要求をしている。拒絶すると滅びが早まるって言っているわ。最近は山地にもパトカーが頻繁に回ってくる。ピアニストと修太が住んでいるからだと思うの。私は怖い」
急に話が現実味を帯びてきた。Mの表情が硬くなる。

「どんな要求を、いつ頃から、どんな手段でしているの」
話を詰めようとビジネスの口調になって問うと、祐子が震え声で話し出した。
「半年ほど前から、インターネットのホームページとEメールを使って要求している。内容は資産税の撤廃と義務教育の廃止よ」

聞いたMはあきれ返った。受け入れられるはずのない要求だった。第一市が裁量できる問題ではない。確かに資産税は市税だし、小・中学校の設置と管理も市の責任だった。だが国家が控えている。少しも現実味がなかった。
「理由はあるの」
「資産税は土地所有を公的に認めるシンボルだし、義務教育は公的に子供を人質に取る方便だと言っているわ。文化的な地域社会を造るにはどちらも撤廃すべきだというの」
資産税を撤廃し義務教育を廃止することが、滅びを惜しまれるべき社会の条件になるのかとMは思う。確かに極端な土地所有を改め、子供たちを家庭に返し、個性豊かな人材を育てなくては、これからの時代が社会を否定するだろうことは予想できる。だが、到底受け入れられるはずのない要求だった。単に組織の主張を誇示し、宣伝することだけが目的に違いなかった。それだけにエスカレートしていく戦術が怖い。

「ひどいことになっているのね。ピアニストは十八歳、修太は祐子と同じ十二歳のときに知り合い、私と一緒に半年ほど暮らしたのよ。その二人が揃いも揃っておかしくなったのでは、責任を感じてしまう」
「Mのせいじゃないわ」
大きく叫んだ祐子がMの身体に裸身をかぶせた。首筋に顔を埋め、喘ぎながら耳元に舌を這わす。

「いつまでも、じゃれてるんじゃない」
壁の向こうから、いつの間にか帰宅したチハルの怒声が飛んできた。祐子の裸身がすくみ上がる。Mは片手で祐子の肩を優しく抱いてやった。掌の中で乳房が弾み、乳首が固く尖ってくる感触がした。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

最新記事
カレンダー
06 | 2011/07 | 08
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
free area
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR