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11 通洞坑-2-(2)

本坑から池を渡り、狭くなった坑道に入った。
五メートルほど歩くと、黒い側壁の下にぽっかりと穴の空いた岩盤の前に出た。「屈んだまま横穴に入って行くんだ」
修太が弾む声で言った。
「慣れている修太が先になりなさい。次に光男と祐子。私が最後に続くわ。ちゃんと先を行く人の肩に手を掛けて行くのよ」
はっきりとした声で命じてから修太にランタンを渡す。笑ってMの目を見た修太が屈み込んで横穴の中に消えた。瞬く間に闇が周囲を支配する。祐子と光男の身体が緊張したのが分かる。
遅れないように慌てて光男が続いたようだ。「押すんじゃない」と叱責する修太の声が穴の奥から響いてきた。

祐子がしゃがみ込む動きが肩に掛けた左手に伝わる。Mも膝を折って祐子に続いた。横穴は、やっとMが屈んだまま足を運べるほどの広さだ。蟹になったように小さく屈み込んだまま、すり足で前に進む。

「さあ祐子、頭に気を付けて立ち上がるんだ」
修太の声に続いて、一歩踏み出した祐子が立ち上がった。肩に載せていた左手を腰が触れていった。首をねじって見上げると、ほんのりと光が入った空間が見えた。岩の裂け目にできた自然の洞窟だ。

胸ほどの高さにある重なり合った岩の裂け目に、祐子の下半身が垂れ下がっている。
「お前は尻がでかいからな。少し肌が擦れるけど引っ張るから我慢しろよ」
修太の声とともに、祐子の白い尻が岩の中に吸い込まれた。笞打たれた傷が岩で擦れ「ヒッ」という、呻き声が聞こえた。

「Mの番だよ」
しばらくして腹這いになった修太の顔がのぞき、突き出されたランタンが岩に挟まれた空間を明るく照らし出した。
痺れた膝を伸ばして立ち上がってみる。洞窟はMが中腰になれるほどの空間だった。目のすぐ下の胸の当たりに、子供たちがくぐっていった岩の裂け目が見える。どう見ても大人がくぐり抜けるのは無理と思われるほど狭い。

「さあ早く。祐子も光男も、もう外に出たよ」
修太が自信に溢れた声で言った。子供たちが外に出られたのなら、それでいいとMは思った。
一応、頭を裂け目に入れてみた。岩に当たりながらも、やっと肩がくぐったが胸は通りそうにない。
「だめ、私は通れないわ。助けを呼んでくれる。警察でいいわ」
「大丈夫だよM。頑張らなくちゃ。服を着ているからだめなんだ。Mらしくないよ、裸になってもう一度やってみて」
確かに自分らしくないとMは思った。子供たちは素っ裸なのだから、両手が自由になった今、一人で服を着ている必要はなかった。

黙って頷いてタンクトップを脱ぐ。ホワイトジーンズを脱ぎ去るともう、全裸だった。白い帽子を脱いで、長い髪を左右に揺すった。
さっきと角度を変えて両手を伸ばし、そのまま岩の裂け目に入っていった。肩は簡単に通り、つかえていた胸も辛うじて通過できた。しかし豊かな腰はどうやっても通れないことが分かった。
目の前で腹這いになった修太の目を見て、静かに言った。

「早く助けを呼んで来て。陶芸屋に警察を呼ぶように言うのよ。修太が一人で行きなさい。祐子と光男は外に出た所で待たしておくの。そこなら絶対、カンナに見付からないでしょう。修太も注意していくのよ。分かった」
「うん」と応えた修太がMの手にランタンを渡し、腹這いのまま下がっていく。Mは先ほどの祐子のように下半身だけ垂れ下がった裸身を、やっとのことで元に戻した。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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