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7.もう一つの拉致(5)

ヘッドライトの光の中に、自転車に乗った清美の姿が浮かび上がっている。剥き出しの身体が痛々しいほど不安定に見える。フレームに張った赤い蛍光表示が左右に揺れている。後ろから迫ってきた進太に道を譲るように速度を落とし、道路の左に寄った。両者の距離が急速に縮まっていく。フロントガラスの中で、清美の後ろ姿が大きく膨らんでくるような気がする。追突まで数秒も残されていない。進太の胸を恐怖が掠めた。ハンドルを切って追突を避けたくなる。必死で恐怖に抗い、両手を突っ張って進路を維持する。冷静に急ブレーキを踏んだ。タイヤの軋る音に比べ、追突のショックはほとんどなかった。フロントバンパーが何かに当たった感触と同時に清美の身体が前につんのめり、反動で後ろに倒れた。白い自転車が横倒しになる。進太は即座にすべてのライトを消してエンジンを切った。追突現場の一切を闇が包み込んだ。進太は助手席に置いたマグライトとロープを掴んでドアを開けた。追突のショックで動転している清美を素早く縛り上げねばならない。高い運転席から路上に飛び降りた途端に膝頭が震えた。全身を包んだ闇が怖い。路上を転がっていく枯れ葉の音が耳に障った。転倒した痛みを訴える声も聞こえないし、清美がうごめく気配もない。進太の胸を不安がよぎった。マグライトを点灯して路上を照らし出した。巨大なフロントバンパーの下に仰向けに倒れている清美が見えた。しっかり目を閉じて微動だにしない。進太の膝が大きく震えた。震えは全身に伝わり、マグライトの光が激しく上下する。全身が硬くなって脂汗が吹き出してきた。生暖かい感触が股間に広がる。進太は清美の死体を見下ろしたまま長々と失禁した。だが、小便を垂れ流しながら見下ろす死体は、まるで生きているように見える。路上には一滴の血も落ちていない。進太は勇気を奮い起こして清美の顔の横にひざまずいた。そっと口元に手をやると確かな呼吸をしている。急に全身の力が抜けた。思い切って揺り起こそうとしたが、すんでの所で思いとどまる。慎重に頭部を撫でてみると、側頭部に大きな瘤ができていた。倒れた拍子にフロントバンパーに頭をぶつけたらしい。脳震盪という言葉が進太の頭に浮かんだ。だが、救急車を呼ぶわけにはいかない。慎重に荷物室に横たえて、自転車と一緒に運ぶことに決めた。大きな不安は残ったが、ともかく計画は成功したのだ。深々と冷たい外気を吸い込むと股間に寒さを感じた。情けなく失禁した事実を改めて思い出した。

荷物室に寝かせた清美を気遣って、進太は殊更ゆっくりとゲレンデヴァーゲンを運転した。時刻はもう八時近くになっている。街道を走る間も、対向車が一台あっただけで追尾する車両はなかった。築三百年の屋敷に続く横道に入ってからは、余裕を持って運転した。ヘッドライトの光が黒々とした長屋門を照らし出した。斜めに崩れ落ちた梁の下を慎重に潜り抜ける。広々とした庭にでたが、霜枯れた草地に轍の跡を残さないように、できるだけ大回りに庭を回って博子を監禁していた土蔵に向かった。厚い土の扉の前にゲレンデヴァーゲンを後ろ向きに止める。コンテナから出したコールマンのランタンに火を灯してから土蔵の扉を開けた。少しかび臭い匂いが鼻を突いたが、中は寒くなかった。置き去りにされたテーブルの上にランタンを載せ、家から持ってきた二枚の毛布を柱の横に広げた。リアゲートを開き、荷物室に横たわった清美を慎重に抱き上げて運び、毛布の上に寝かせた。清美は相変わらずぐっすりと寝入っているようで反応がない。ただ、呼吸はしっかりしていて、顔色もいい。最後に後輪の曲がった自転車を運び入れてから扉を閉め、横たわった清美の隣りに、柱に寄り掛かって座り込んだ。清美がいつ目覚めても対応できるように麻縄の束を床に広げた。光の加減で清美の横顔が微笑んでいるように見える。進太も他愛なく微笑み返す。その瞬間、ここに泊まることを決心した。ちょうどMも留守だ。朝が早い歯医者さんも、もうじき寝入ってしまう。進太に干渉できる者は誰もいない。土蔵に外泊することを決断すると急に気が楽になった。失禁で濡れた股間が不快になる。両足を投げ出して座ったまま靴を脱ぎ、ズボンを下ろした。黒いビキニショーツも脱いで下半身を剥き出しにする。陰毛の中に縮み込んでいたペニスを摘んでハンカチで拭いた。思ったより寒さは感じない。ランタンの火で密閉された室温が上がったようだ。手持ち無沙汰な好奇心が、今夜の獲物を点検したい欲望に火を点けた。萎んでいたペニスが硬くなってくる。

進太は中腰になって清美の横に屈み込んだ。もこっりとしたダッフルコートがこの場の雰囲気に馴染まない。コートの裾から伸びた紺色のウールパンツも、ブーツ型のスニーカーも似合わないと思った。手を伸ばしてスニーカーの紐を解いて靴を脱がせる。白い綿のソックスを脱がすと、ストッキングに包まれた小さな足が現れた。左の足首の外側から血が滲んでいる。転倒したときに負った擦り傷らしい。小さな足を両手で持って傷口に口を寄せた。舌を這わせると酸っぱい血の味が口中に広がる。勃起したペニスが痛くなるほど硬くなった。もう我慢ができなかった。白いダッフルコートの前をはだけさせて藤色のセーターをたくし上げた。紺色のパンツのジッパーを下ろし、一気に引き下ろす。あらわになった下半身を見て、進太は目を見張った。清美の股間には黒い小さな布切れしか張り付いていない。それも薄手のレースで、性器が透けて見えるほどだ。黒いTバックのショーツの上から白いガーターを付けて、ストッキングを止めていた。思いがけない大胆な下着が進太の欲情をそそった。震える手でセーターとババシャツを脱がせる。Tバックとお揃いの黒いレースのブラジャーが、ふっくらとした胸を覆っている。勝ち気な清美によく似合っていると思った。

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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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