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2.ワサビ田(13)

ダブルのソファーベッドが断続的にきしんで、音を立てる。ほんのりと明るい間接照明が、絡み合う裸身を照らしている。名淵の逞しい膝がMの股間を割った。太股に押し当てられたペニスの感触が、陰部に熱い情感を沸き立たせる。右手を伸ばして屹立したペニスを握ると、身体の深奥から喜びが溢れた。膝でなぶられた性器が戦く。名淵の愛撫は濃厚だった。尻の割れ目に回った手が怪しくうごめき、乳房をもみ上げる指先から優しさが伝わる。Mの口から低くい呻きが漏れた。すかさず名淵が口を重ねる。開いた唇の間から舌先が侵入し、Mの舌を求める。絡み合う舌が官能を運び、陰部がしとどに濡れた。ひとしきり口を吸い合った後、名淵が器用に体位を代えた。Mの股間を押し開いて顔を突っ込み、狂おしく陰部を吸う。Mも負けずに反り返ったペニスを口に含んだ。お互いの尻に回した両手が執拗に肛門を愛おしむ。真っ白になった頭の中で、押しては返す波のように官能が高まっていく。やがて潮が満ち、巨大な波頭が打ち寄せてきたとき、名淵が身体を離した。Mは大きく股間を開き、身悶えして名淵を待つ。官能に研ぎ澄まされた粘膜に、熱くいきり立った亀頭が触れた瞬間、全身が電撃を浴びたように震えた。暗転した視界の底で真っ赤な炎が揺れた。身体の奥に呑み込んだ肉を、Mの全身が包み込む。官能の高まりに耐えきれず、二人の口から同時に喘ぎが漏れた。名淵がゆっくり腰を使う。Mの尻も淫らに震えた。

「Mさんっ、いく」
獣の声が響いた途端に、呑み込んだ肉がひときわ大きく膨らむ感触がした。だが、巨大な波頭はついに崩れなかった。春の波間に漂うような気怠さが、Mの全身を包んだ。官能に言葉は要らない。ぐっしょり濡れた股間で柔らかくなっていくペニスを意識しながら、Mは思った。小さく身じろぎした名淵がそっと身体を離す。軽くなった胸に外気が触れる。異様な寒さを感じてMの裸身が身震いした。

「Mさん、とてもよかったよ」
首筋に埋めた名淵の頭の後ろから声が聞こえた。どことなく自信のない声だ。Mは名淵の髪を撫でながら掠れた声でつぶやく。
「そう、ありがとう」
声に応えて名淵の左手が伸びる。そっとMの腰を抱いた。遠慮がちに手を広げて股間をまさぐる。春の波間を漂う官能が再びざわめきだしそうになった。

二人は一時間ほど抱き合ってベッドに寝そべっていた。まだ寝ていないことを示すように、名淵がMの素肌を撫でる。Mが寝入っていないことを、名淵も知っている。二人とも黙ったままだが、情事の後の静かな部屋に緊張が高まる。
「眠れないのかい」
我慢できずに名淵が聞いた。Mは答えずに身を起こし、部屋の隅に押し付けたテーブルを見た。小さなグッチのボストンバッグが目に入った。チーフが用意してくれたものだ。Mは黙ってベッドから起き上がり、テーブルへ近寄っていった。名淵の目の先で素っ裸の尻が左右に揺れる。待ち望んでいた何事かが始まるような、ときめいた予感がした。

Mはテーブルの前にひざまずいて、ボストンバッグを開けた。黒い麻縄の束と焦げ茶色の革鞭が見えた。懐かしい品々はMに、官能は待つものでなく追い求めるものだと告げている。Mはバッグを手に提げてベッドに戻った。上半身を起こして見ている名淵の上に、バッグの中の品を一気にばらまく。
「検事さん、お願いがあるの。この縄で私を後ろ手に縛り上げてください」
さりげなく言おうとしたが、Mの声は固くなっていた。名淵は面食らった顔でMを見上げる。苦悩の色が表情を掠めた。
「まさか、ピアニストへの贖罪ではないでしょうね。僕にも責任があるんだから、そんなことは耐えられない」
「とんでもない、大人が選んだセックスを悔やむわけがない。縛られるのが好きなだけよ。もっと官能を楽しみたいの」
苦しそうに発せられた名淵の言葉を打ち消すように、Mが断言した。言い終わると同時に名淵に背を向け、床の上に正座した。背中に両手を回して首筋の下で高々と組む。取り残された名淵は、仕方なく黒い麻縄を持って立ち上がった。ザラザラとした縄の感触が手に痛い。この縄で素肌を縛るのかと思うと、Mの苦しさを思いやって心が痛んだ。だが、目の前で正座したMは、真っ直ぐに背筋を伸ばし、凛とした姿勢で厳しい縄目を待っている。異様な美しさが名淵の目を打った。静謐な裸身に誘われるように、名淵はMの背後に屈み込んだ。細い両手首をつかんで黒縄で拘束する。後ろ手に縛り上げた縄尻を首筋に引き絞ると、Mの口から切ない喘ぎがが漏れた。ペニスが再び固くなり始める。名淵はMに指示されるとおりに縄を使った。後ろ手を緊縛した二本の縄尻を胸に回し、豊かな乳房の上下を厳重に縛り上げる。別の黒縄を取り上げ、後ろ手から首の両側を這わせて胸元に下ろした。その縄尻で乳房の上下を縛った二条の縄を一つに束ねる。ぎゅっと黒縄を絞り上げると、豊かな乳房が見る間に盛り上がる。縄目の間から突き出た乳房は、まるで洋梨のように無惨に変形している。Mの口からまた呻きが漏れた。眉をきつく寄せ、唇を噛みしめて痛みを耐える。凄惨な美しさが名淵の全身を打ちのめした。もう行くところまで行くしかない。

「さあ検事さん、肌に血が滲むまで鞭打ってください。遠慮せずに、私の全身が熱く燃え上がるまで打ちのめしてください」
透き通った声でMが願った。返事も待たずに後ろを向きでひざまずき、床に横顔を着けて裸身を支える。剥き出しの尻を高々と掲げた。尻の割れ目の中心に肛門が露出している。黒ずんだ括約筋が淫らに収縮して鞭を求める。名淵が革鞭を取り上げ、高々と振りかぶった。尻を目掛けて振り下ろす。素肌を打つ鋭い鞭音が部屋に響き、Mの口から悲鳴が漏れた。今度は名淵の頭が空白になる。力を込めて縦横に鞭を振るった。白い尻に幾筋も真っ赤なミミズ腫れが走った。過酷な鞭打ちから逃げようとして、尻が前後左右に振られる。見えない鞭を避ける尻が滑稽なほど哀れだ。逃げ回る尻を執拗に追い、狙い打つ喜びが名淵の全身を満たし始める。啜り泣くMの悲鳴が心地よい。黒々とした修羅の世界が責める裸身と、責められる裸身を覆いつくした。Mの視界はもはや真っ暗だった。打たれた瞬間だけ真っ赤な閃光が走った。股間から溢れた愛液が腿を伝う。全身が、粘り着く汗にまみれた。鞭打たれながら悶え、必死に上体を起こす。裸身を緊縛した縄がきしってギシギシと鳴る。飛び上がるほどの痛みをこらえて床に尻を着き、大きく股間を開いて胡座を組んだ。交差した両足首に名淵が麻縄を通し、素早く緊縛する。胡座縛りにしたMの後ろ手を取って前方に突き倒す。Mは両膝と横顔で苦しい姿勢を支えるしかない。座禅転がしにされた無防備な股間が名淵を誘う。丸出しになった陰部の奥に、固く突き立った性器が見えた。背後で膝立ちになった名淵が荒々しくペニスを突き立てる。激しく腰を使われると、Mにはもう抗う術がない。ひたすら、押し寄せる官能の波にもてあそばれるだけだ。真っ黒な視界に漆黒の炎が揺れる。官能の極まりが道標に灯した幻の炎だ。Mと名淵はその暗黒の炎に誘われるように、さらに先へと進む。巨大なペニスが肛門を突き刺し、執拗に陰部を責めた。数時間前の真っ赤な炎と異なり、暗い闇の炎が燃えている。無明の闇を照らす漆黒の炎だ。これが追い求める希望なのだと、Mは不意に思った。すでに官能と呼ぶには遅すぎる。人の暗部に棲む夢だけが希望となり、残された時間の上を羽ばたくのだ。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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