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4.監禁(4)

「もー、こらえ性がない。いつの間に漏らしたのよ。こんなパンツを口に入れるんじゃ、いくら何でも博子がかわいそうだ。でも、私も、博子も素っ裸で下着がないんだから仕方ない。我慢してもらうよ」
楽しそうに言ったチハルがショーツをひらひらさせてから、また博子の鼻を摘まみ上げた。大きく開いた口からナイフを抜き取り、代わりに進太のショーツを口中に押し込む。博子の鼻孔を精液の匂いが掠め、舌先を濡れた布切れが圧した。生臭い味と匂いで喉元に吐き気が込み上げてくる。吐きそうになった瞬間、海老責めにした縄が解かれ、急に身体が楽になった。胡座縛りにした縄もチハルが解き去る。博子はチハルに命じられたとおり、痺れ切った両足を伸ばした。荷物室に尻をついたまま足を車外に垂らした。痛みに似た痺れが全身に伝わっていく。口に詰められたショーツを吐き出せぬように、二本の麻縄で猿轡を噛まされた。博子の目に涙が滲んだ。

「博子の飼い方と扱い方は、これから私が教えて上げる。その前に確認するけど、進太はこの女を譲り受けて、死ぬまで監禁する気構えはあるのかい。無いなら、今はっきり言うのよ。始末は私がするから、進太は気にしなくていい」
立ち上がったチハルが厳しい声で問いただした。進太の頬が赤く上気する。
「僕に監禁させてよ。一生面倒を見る。クーチャンにしてやりたかったことを全部したいんだ」
迷わず答えた進太が、またクーチャンの名を出したことを、チハルはいぶかしんだ。昨年アメリカから帰ってきてすぐ、ワサビ田の水貯まりで殺されていた知恵遅れの少女にはチハルも会ったことがある。よく泣く少女だった。毎晩深夜に進太の部屋の窓の下にたたずみ、声を立てずに泣いていた。それも素っ裸で泣いている。五分間ほどの短い時間だが、見てしまった自分には耐えられないと、ドーム館に帰国を歓迎に来た進太が話していった。殺してやりたくなると洩らした言葉に、進太には無理だから、私が代わりに殺してやると答えた覚えもある。帰国したばかりで、身に染みついた暴力と、発散し尽くしてしまった暴力の記憶が生々しすぎて、地に足が着いていない時期のことだ。あのころの記憶は今もぼやけている。だが、蔵屋敷の横にたたずみ、二階の窓を見上げて泣き続ける少女の姿が、目に焼き付いているのも事実だった。硬い質感の、真っ白な裸身をよく覚えている。そのクーチャンが進太の性の中で、それほど重要な役割を負っていたとはチハルも気付かなかった。滅び去った生が、高まりを求めていく性を、あっけなく蹂躙していく予感がチハルの背を掠めていった。

「さあ、監禁室に行こうか」
気分を変えるように言って、チハルが博子の縄尻を引いた。うなだれた博子の裸身が地上に降り立つ。股間を縦に縛った縄目の痛さに眉をしかめ、博子はよろよろした歩みで曳き立てられていく。土蔵までは結構長い距離になるが、草原に轍が残ることを怖れてゲレンデヴァーゲンは使わない。チハルは途中で縄尻を進太に握らせ、三人の先頭に立って土蔵に向かった。
土蔵の中央に立つ柱に博子を立ち縛りにさせてから、チハルと進太は必要な品を取りに車に戻った。荷物室のコンテナを開けてコールマンのランタンと手動ウインチ、用水タンク、予備の縄束を取り出して土蔵に運ぶ。二棟の土蔵の間に捨ててあった黒い篠竹も数本拾ってきた。食料は明日そろえることにする。

「博子はダイエットした方がいい」
チハルがつぶやくと進太が笑った。二人で大笑いしながら土蔵に戻った。薄暗がりで立ち縛りにされた博子の裸身がギクッと震えるのが見えた。
「いいかい、進太。博子の飼い方を教えて上げるからよく聞くんだ。まず、いつでも素っ裸にしておく。間違っても服を与えてはいけない。万一逃亡されても、裸なら動きが鈍る。そして、いつでも拘束しておくこと。厳しく緊縛するのは罰するときだけでいいが、必ず手か足を縛っておく。明日私が市に行って頑丈な鎖と首輪を買ってきてやる。この柱に太い鎖で繋いで置けば間違いないが、油断は禁物だ。反抗心を芽生えさせないためにも、一緒にいるときは必ず縛れ。トイレは外でさせるか、ここでバケツにさせる。始末は必ず進太がする。情を移すと必ず問題が起きる。いいわね、この扉には目立つ外鍵は付けられない。完全な拘束を心掛けなさい。万一死ぬことがあっても構わない。始末は私がするから、すぐ呼びなさい。図書館で調べたMの事件でも、逮捕されたときのMの身体には縄目の痣と、鞭打たれた痕が随所にあったというわ。監禁されるとは、そういうことなの。進太の思い通りにしてみるがいいわ。だめだったらすぐ、私を呼びな」

チハルの説明を、進太は目を輝かせて聞いた。大人の博子を子供の進太の手に委ねる事に不安も湧いたが、博子を殺さずに連れてきたのはチハルだった。今更悔いる必要はなかった。行き着くところまで行くしかない。これで進太が、いささかなりとも変われば、私は人を殺した価値があると思い定めた。

「さあ、これで私は帰る。進太もいつもの時間に帰りなさい。大胆に振る舞わないと、足元を見透かされるからね。いい、築三百年の屋敷に来た甲斐があったでしょう」
大きくうなずく進太にうなずき返し、チハルは土蔵を出た。事が露見しなければ、博子は一か月は生きられるだろうと思った。しかし、確実に短命で終わる。頭上を見上げると、青い空が広がっていた。長い一日が、まだ終わらないことがチハルには不思議だった。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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