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7 煉瓦蔵の裏で(3)

話題を変えるように、苛立った声でバイクが祐子を急かせる。
「靴は脱がなくてもいいよ。車椅子で汚れているからいいんだ」
「いえ、脱いで上がるわ」
急かせるバイクに背を向けて靴を脱ぎ、六十センチメートルほどの高さがある廊下に長い足で軽々と上がった。車椅子には不向きな造りだと思う。
「さあ、部屋の方に行こう」
「私が押すわ」
バイクの後ろに回って車椅子の取っ手を握り、ゆっくりと押して行った。
「散らかっているけど、俺の部屋がいい」
ポツンと電話の置かれた廊下の横の襖を指差す。
大きく襖を開くと、後ろからバイクが声を掛ける。
「柱の下にスイッチがある」
手探りで柱をなぞると、車椅子のバイクがちょうど手を伸ばして届くところにスイッチがあった。

高い天井から吊り下げられたシャンデリアが、複雑な光を落とした。あまり趣味がいいとは言えない照明だったが、不思議な雰囲気を十畳ほどの部屋に与えている。和室を改造した部屋は、厚い板を張ったフローリングの上に、所々が擦り切れた絨毯が載せてあった。
奥の壁沿いにゆったりとしたロー・ソファーと椅子が置かれ、前に大きなテーブルがある。開きっぱなしのクロゼットを挟んで、ダブルのロー・ベッドが置いてある。乱雑にベッドカバーが掛けてあった。
部屋の中央には何もなく、大きく空いている。部屋全体が車椅子で動きやすい配置になっていた。

「祐子、奥のソファーに座れよ」
後から入って来たバイクが襖を開けたまま、席を勧める。
エアコンがない割には、むっとする暑さは感じなかった。締め切っているにも関わらず、空気が流動しているのが肌で感じられる。自然と暮らす昔の人の知恵が伝わってくるようだ。
「本当によく来てくれたね。何度電話しても留守なので、マンションに行って待っていようかと思っていたところだった」
テーブルを挟んでソファーに掛けた祐子に、バイクが熱い声で同じことを言った。本当に言いたいことを言い出しかねている素振りに見える。

「サロン・ペインに行っていたの。新聞社でMとも会った。バイクに協力しようと決心が決まったから、突然訪ねて来たの」
「俺に協力するって、何のこと」
バイクの喉仏が大きく動くのが見えた。いつも意地を張っているのだ。
「サロン・ペインのチーフは、素っ裸になって股間を縛らせることだと言ったわ」
あっさり言い切っても、何の動揺も感じなかった。顔も赤くならない。やはり、バイクと対等の立場にいないということなのだろうか。祐子は焦りに似た悲しみを感じた。
かえってバイクが動揺した。脂ぎった顔が細かく震える。何回となくまばたきした後、どもりながら言った。

「そんなこと、して欲しくない。俺は本当の姿を、祐子に知って欲しいだけだ」
「もう、知っているわ。今夜は、私の本当の姿を知ってもらいに来たの」
口を開こうとするバイクを制して、祐子は立ち上がった。
「本気よ。見て」
白のタンクトップを脱ぎ、麻のパンツを脱いだ。

首に掛けた金のネックチェーンだけになった裸身が、古風なシャンデリアの明かりを浴びて白く輝く。剃り上げたばかりの股間で、小さな性器が固くなった。両の乳首も上を向いて震える。マンションで裸身を見せたときと、まったく意気込みが違うのだ。

「さあ、バイク。私を縛って好きなようにして。ペニスが堂々と勃起して、射精するまで私を責めて」
祐子の裸身を見上げるバイクの目が怪しく光った。車椅子に乗った全身が小刻みに震える。
「いいのか」
「当たり前よ」
背筋を正して言い切った祐子を、振り扇ぐように見つめたバイクが車椅子を回し、ベッドの方に向かう。

自力で車椅子から降り、ベッドに腰を掛けたバイクが自分を納得させるように大きくうなずいてから、しっかりした声で命じた。
「祐子、こっちに来て、俺の服をとれ」
バイクの前に裸身を屈め、祐子は青いアロハシャツのボタンを外した。シャツの下は素肌だった。プーンと汗の臭いが鼻を打った。
何気ない顔で腰のベルトを外し、ズボンを脱がせ、青いトランクスを脱がせた。股間からムッとする臭いが立ち上る。細い両腿の間に、陰毛に埋もれたペニスが、縮こまった顔を見せた。汚れきった股間だった。
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Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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