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10 みんな闇の中(3)

「なかなか面白いもんだねママ。病みつきになりそうだ。でも、Mの反応がないのでつまらない」
「そう、天田さんも治療の必要があるみたいね。うちのクラブに通うといいわ。もちろん有料でね。いい声で泣くチーフ相手なら、一発で勃起するわ」
尻を襲う鞭が途絶え、そっと目を開いたMの揺れる視線に、鏡に映ったチーフの顔が見えた。目の周りを涙で汚したチーフが、悔しそうに口を歪める。ママの言葉に、先ほどまでの哀願振りもなりを潜め、大声で叫んだ。
「私は役者なんだ。こんなS・Mショーは二度とやるものか。ママ、恥を知れ。セックスの切り売りなんかに、三文の値打ちもない」
「おや、チーフ。威勢のいいことを言うね。今夜はショーじゃあないよ。三文芝居の役者の根性を叩き直してやるのさ」
チーフがまた、悔しさに口を歪ませる。向かいの鏡に映った剥き出しの股間で、さんざん打ち叩かれた肛門が切なそうに蠢いた。黙っていられず、Mが叫ぶ。
「チーフは世界に羽ばたく役者よ。こんな腐った店には似合いはしない。臭い店を畳んで、都会のゴミ溜を漁っているのがあんたに似合いだ」
「へえ、Mも元気になったじゃあないか。楽しみだね。二度と商売の邪魔をする気にならないよう、ゆっくり思い知らせてやるよ。私たちはこの道のプロなんだからね」
鏡の中で、右手に乗馬鞭を下げて仁王立ちになったママが、Mの尻の前に進んだ。

「さあ、ピアニスト。私たちの邪魔をする馬鹿な女を懲らしめてやろう」
鞭を差し出されたピアニストは黙ったまま、首を振った。
「相変わらずピアニストは澄ましているね。決していいことではないと思うけどね。じゃあ、祐子が打ちな。せっかく自分の進む道を決めることができたバイクに、泥を塗りに来た女だ。祐子の協力さえ、腹の中で嘲笑っている。自分が一番偉いと思っている女だ。思い知らせてやった方がいい。祐子も一人前の女になったんだろう。さあ、教えてやるがいい」
大股に近付いて来たママが、祐子に鞭を手渡す。
ピアニストの手の下で、祐子の肩が固くなり微かな震えが伝わってくる。肩に掛けた手に力を入れ、そっと揺すってやった。
下を向いていた祐子が顔を上げ、吊り下げられた二つの尻を見た。視線を変えて、鏡に映ったMの目を見つめる。

赤い鞭痕が無数に浮いた自分の尻の横に映る祐子の顔を、じっとMは見つめた。大きく見開かれた祐子の目に悲しみの色はない。すべてを自分で選び取ってきたという自信と、微かな不安だけが漂っている。この自信と不安が交互に、これからの祐子の生に襲い掛かるだろう。もう後戻りはできないのだと、Mは思った。目頭が熱くなり、吊り下げられた裸身全体を悲しみが被った。祐子が愛おしくてならない。
祐子の目に、Mの見開かれた瞳だけが映っている。Mの静かな黒い目に今、潮が満ちるように悲しみが溢れていく。手に持った鞭が重い。

「祐子、私を打ちなさい」
凛とした声が、耳を打った。
祐子は両足に力を込め、じっと歯を食いしばった。手に持った黒い乗馬鞭を握りしめる。鏡に映るMの瞳を見つめたまま、しっかりとした足取りで前に進む。瞳が視界から消え、目の前の豊かな尻が大きく目に入った。鞭痕が浮き出た白い尻だ。冷静に裸の尻を観察する。
股間の奥に陰毛に隠された性器が蠢いている。まるで、祐子を誘うように性器は固く突き立っている。尻の割れ目では肛門が笑う。サーモンピンクの粘膜がつぼまっては開き、そっと手招きする。

「M、大好き。私もきっとMに続く」
心の中で宣言し、祐子は大きく鞭を振りかぶった。
鋭い音を立てて鞭先が尻の割れ目に食い込み、肛門から性器にかけてを手酷く打った。
「ヒッ、ヒー」
聞きようによっては歓喜に震える、かん高い悲鳴がMの口から溢れた。
何度も何度も、祐子は鞭を振るい、Mの揺れる尻を打った。予感していた涙も、ためらいも浮かばなかった。ただ、尻を打つ度にMと同じ痛みを、全身で感じ続けていることだけを願った。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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