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10 みんな闇の中(5)

舞台の上では、吊り下げられた二つの尻が淫らに揺れている。傍らに立った天田がMとチーフの裸身に両手を伸ばし、フックに吊られた両腕の間で、二人の乳房を揉みしごいている。
「ウッ、ウウウッー」と、チーフの口から呻き声が洩れ始めた。逆さになった双臀が艶めかしく悶え、尻の割れ目が狂おしいまでに開かれていく。
逆立ちになって、固く閉じられたMの眉が、眉間に寄せられて震えだした。
祐子の視線の先で、閉じられた瞳が大きく開かれる。Mが祐子の目を見つめた。しっかりと祐子が視線を返す。
逆さまになったMの口元がにっこりと笑った。思わず祐子が微笑み返す。

「ウワッー」
大きな叫びが突然、笑いかけたMの口に溢れ。直ぐさま恐ろしく緊迫した表情に変わった。宙に浮いたMの股間から多量の尿が吹き出る。太い澪がチーフの尻を打ち、飛沫が辺り一面に飛び散る。慌てて身をかわした天田が滑稽だった。続いてブリッと嫌な音が響き、尻の穴に突き入れられたマドラーが、黒い糞便と共に押し出されて落ち、チーフの肛門に垂れ下がった。糞便はなおも排出されるままに舞台に落ち、床一面に糞尿が溢れる。

「ナース大変、二人を下ろして。二階まで使いものにならなくなる」
動転したママの声が、部屋中に響き渡った。
「凄い臭いだ。鼻が千切れる」
隣のチハルが、鷹揚に鼻を摘んで見せた。
祐子はビクリともせず、Mの顔を見つめ続ける。
やっと目を開いたMが、また祐子に笑いかける。祐子が微笑みを返す。

Mはいつも戦い続けるのだ。そう祐子は思った。
私もMと違う場所できっと、戦い続けることになると祐子は確信した。
Mが私に戦い振りを見せてくれた。どんなに惨めだろうが、屈辱にまみれようが、ずっと戦いは続くのだ。
祐子の背筋を戦慄が走った。

階下から「エリーゼのために」が流れてきた。開け放されたドアから、ピアノの調べに乗ってカクテルになったアルコールの臭いがする。
Mを見習ったチーフが全身でいきみ、吊り下げられた尻を振って多量の糞尿を排泄した。淫らな性具が二人の股間から抜け落ち、糞尿の池に落下した。

「ちっとも恥ずかしくなんかないわ。こんなクラブは使えなくしてやる」
勝ち誇った声で、高らかにチーフが叫んだ。

揺れ動く裸身全体を耳にしてMは、階下から聞こえるピアノに聞き入った。
「もう、ショパンは弾いてくれないのね」
逆さまにのけ反った顔で、苦い笑いに歪む口元から小さく、つぶやきがこぼれた。その声を、祐子は聞き逃さなかった。

戦い続けるMの、静かな顔を見つめ続ける祐子の心の底に、初めて深い悲しみが込み上げて来た。
色々なことのあった夏休みが正に、終わろうとしていた。


第4章 ―卒業― (完)

明日より、第5章 ―野望― をお届けします。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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