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4.突然の招き(2)

チーフに受話器を返そうとして、Mは夕べの酒盛りでスーツを派手に汚してしまったことを思い出した。染みだらけの服を着ていくわけにはいかない。一瞬思いあぐねたが、結局チーフに頼るしかない。
「チーフ、お願い。大きめのワンピースを貸してちょうだい。すぐ出掛けなければならないの」
ぽかんとした顔でマグカップを握っているチーフに大声で言って、Mはベッドから飛び出した。真っ直ぐバスルームに向かう。幸い張られたままの冷め切った湯に飛び込み、湯舟の中でボディーシャンプーを使った。

半分眠っていた身体全体に鳥肌が立ち、全身が覚醒する。熱いシャワーでシャンプーを洗い流し、バスローブで裸身を被って水気を取る。
ベッドサイドまで戻り、バックの中からゲランを出して全身に振りまく。チーフがスツールの上に用意したワンピースを横目で見た。光沢のある黒のシルクニットの生地だ。ゆったりとした作りだから、チーフのサイズでも着られないことはないと思った。時間は後五分しかない。

素っ裸のまま頭からワンピースを被ろうとすると、チーフが黒のストッキングを出してきた。会見の場所は聞いていないが、今日は土曜日だ。靴を脱ぐ場合もあり得た。チーフは良く気が回る。
急いで腰を下ろし、ストッキングを穿き、ガーターで止める。
黒のストッキングとガーターで裸身を被っただけの姿を見て、チーフが感に堪えた声を出す。

「MはS・Mショーのプリマがつとまるわ。ショッキングなほど色っぽい」
確かに鏡に映った姿は挑発的だと、Mも思う。黒のガーターに挟まれ、剥き出しの股間で燃え上がっている陰毛が卑猥にさえ見える。しかし、今さらショーツなど穿く気にもなれない。
ワンピースを着込み、ファスナーを上げると、体型にぴったりフィットしたシルエットになってしまっていた。裾の辺りは、今にも剥き出しの尻がのぞきそうなほど短い。

「M、素肌にニットを張り付けたみたいよ。構わないの」
チーフがまぶしい目をして、後ずさって見てから言った。
「似合わないと言うこと」
「いいえ、似合いすぎて衝撃的なの。身体のラインがそのまま出てしまって、セクシー過ぎるわ」
「それなら構わない。男と会うのだから。それにもう時間がないわ」

チーフが差し出した鮮やかな緑色のスカーフを首に巻き、ティファニーのリストウオッチを左手首に巻いた。ショルダーバックを肩に掛けると、もう約束の時刻だった。化粧している時間など残されてはいない。車の中でルージュぐらいは引けるはずだと思って我慢する。
急かせるように、かん高いクラクションの音が連続して響いた。
Mは大きく息を吸って、胸を張って階段を下りる。二階からチーフが黒いダウンジャケットを投げてくれた。
「ありがとう、行って来るわね」
振り扇いだ階段の上で、素っ裸のチーフが足を広げたまま手を振っている。股間の薄い陰毛が寒々しい。
「風邪を引くわよ」
笑いながら言ってサロンを横切る。
ドアを開けると、まぶしさで視界が途絶えた。バックからオレンジ色のレイバンのサングラスを出して掛ける。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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