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8.試練(4)

「よし、面白い見せ物だった。手枷は僕がはめよう。後ろを向きなさい」
先生に命じられてMが後ろを向く。九十歳の老人とは思えない力が背中で組んだ両手を手枷で拘束し、皮帯で首筋近くまで引き上げた。
「さあ、いよいよ女郎の折檻が始まるぞ。生意気に、少しも泣きを見せない罰だ。存分に苦痛を味わうんだな」
楽しそうに先生が言って、棚の上からゴムのベルトを手に取る。長さ二メートル、幅二センチメートルの丈夫なベルトだ。そのベルトをMのウエストの少し上に二重にして厳しく巻き付ける。ちょうど胃の下に当たる位置だ。ベルトが素肌に深く食い込むまできつく締め付けて縛り上げた。
「座り込めるように膝枷は外してやろう」
独り言をいった先生が膝枷を外した。尻尾のように尻から垂れているゴム鞠の一つを右手に持つ。ゴム鞠のバルブを閉めてから無造作に鞠を握った。途端に肛門の内と外にあったゴムの瘤が動きだした。先生が鞠を押す度に二つの瘤が膨れて肛門の内と外から括約筋を圧迫する。
「これくらいでよかろう。もう外れる恐れはない。次は空気浣腸をしてやる」
下品な笑いを浮かべた先生が握ったゴム鞠を代え、同じように無造作に鞠を握り締める。今度は肛門に挿入されたゴムの筒先から腸内に空気が入り込んできた。侵入してくる空気の異様な感触にMは面食らってしまう。排泄を目的とした肛門から逆流して上がってくる空気の存在は恐ろしい。正常な感性が麻痺してしまいそうな違和感と屈辱感が全身を襲った。そんなMの気持ちにはお構いなく、先生はゆっくりと規則的にゴム鞠を握り続ける。
Mの下腹が目に見えて膨れてきた。体内の空気を何とか排出しようと脂汗を浮かべて息むが、肛門を内と外から挟み込んだ風船はビクともしない。やがて下腹が臨月を迎えた妊婦のように膨れ上がった。苦しさにうなだれると、膨れた腹が目に入るだけで股間はおろか足の先も見えない。口から流れ出た涎が空しく突き出た腹に当たる。立っていることができなくなり、足枷に拘束された不自由な身体でビニールシートの上にしゃがみ込んでしまった。その姿はまるで、飛び上がろうと身構えたカエルのようだ。全身から脂汗が滴り、苦しさで目が回りそうになる。ゴムベルトで胃の下をきつく縛られているため、口から空気を逃がすわけにもいかない。今にも下腹がパンクしてしまいそうな恐怖で全身が小刻みに震えた。先生がひたいの汗を拭ってから、やっとゴム鞠を手放した。体内に送り込まれる空気は止まったが苦痛はゆっくり全身に広がっていく。

「どうかね、M。これが女郎の折檻だよ。大枚を叩いて買った身体を傷付ける心配がない。その格好で三日も晒されることを想像してごらん。たまったもんじゃないよ。許してもらえるなら、身も心も売り渡したくなること請け合いだ」
Mは先生の言うとおりだろうと思って小刻みに尻を振り続けた。妊婦よりも膨れた下腹部が膀胱を圧迫し、今にも尿が洩れそうでならない。過酷すぎる責め苦だった。揺れ動く尻を見た先生がにっこりと笑った。
「M、我慢せずに失禁してもいいよ。この折檻を受けた者は皆失禁する。尿にまみれた無様な姿を、許されるまで晒し続けるしかないんだ。残酷な仕打ちだよ。だが、ほんの少し前までこの遊郭でも行われていた仕置きなんだ。女郎の血の涙を一晩味わうがいい。Mはたったの一晩だよ。夜は短い。そろそろ私も楽しませてもらう」
急に若やいだ声になった先生が総絞りの帯を解き、桐生お召しの単衣を脱いで井桁に掛けた。痩せて皮膚のたるんだ股間で醜悪なペニスが揺れている。口枷で大きく開かされた口に萎びきったペニスが挿入された。Mは抵抗もせずにペニスに舌を絡ませる。買われた身体と思うと涙が湧いてくる。だが、先生の言葉の通り、確かにこの屋根の下で多くの女が屈辱の涙を流したはずだった。今、Mはその何分の一でも味わいたいと真剣に思った。女郎同様に金で買われ、恥辱にまみれて折檻を受けているが、決してへこたれまいと決心する。どれほどの苦悩や屈辱にまみれても生き延びるのが女だと確信した。たっぷり時間を掛けて舌を使うとペニスがゆっくりと鎌首をもたげてきた。九十歳にもなって単純な性だけを追う未熟な男だ。先生の口から低い喘ぎ声が出ると同時にMは失禁した。

ルッルルー

突然インターホンの電子音が鳴り渡った。先生がMの口からゆっくりペニスを引き抜いてから受話器を取った。
「誰だね」
機嫌の悪い声で訊ねると、聞き慣れた声が受話器から漏れてきた。
「先生、大屋です。でも借金の話じゃない。切らないでください。富士見荘の権利書を引き取りに来たんですよ。先生は狡いですよ。木造三階建てのこの家は、今では文化財級というじゃないですか。富士見荘が担保なら金融会社が五十万円貸すそうです。先生に借りた二十万円を返済しますから、権利書を返して下さい」
「利息をいれて二十五万円だぞ」
「分かってますよ。ちゃんと持ってきました」
先生は素っ裸のまま、受話器を片手に首を傾げて考えていた。だが、借金を返済するという大屋を断る口実は見当たらないようだった。

「もう休んでいたところだから、ちょっと待っていなさい」
無愛想に言って受話器を置いた先生は、井桁から着物をとって素肌に着た。禿げた頭に手をやったが乱れた髪があるはずもない、ただのご愛敬だった。
「文化財かどうか知れないが、確かに富士見荘は近代化遺産だ。あながち嘘でないかも知れない」
独り言のようにいってから、先生はMが身動きできないように黒革の首輪を延ばしてベッドの柵に縛り付けた。室の照明を消してから事務室に出て、引き戸を閉めた。真っ暗になった寝室のベッドにしゃがみ込んだMの前に、五センチメートルほどの光の帯が見える。先生が戸をぴったりと閉めなかったのだ。戸の隙間からは、ちょうど文机を前にして座った先生の横顔が見えた。先生がMを見て好色そうに笑った。故意にしたとしか思えなかった。あまりの仕打ちに背筋が寒くなる。先生が手元のセキュリティーセットを操作してドアの錠を開けた。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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