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7.稽古(4)

「先生、今度は蝋燭も使わせて下さい。本番と同じ条件で、身体に時間を刻みつけたいんです」
睦月の真剣な声が蔵の中にこだました。微かに笑って沢田がうなずく。ほのかな明かりに映える白い歯が、睦月の目に新鮮に映った。今度こそ稽古を一発で決めようと思う。
沢田は正面入口の横に積み重ねた道具入れの中から、太い蝋燭を取り出して戻って来る。直径が五センチメートルもある真っ赤な蝋燭は、睦月がSMショーで愛用していたのと同じ品だ。後ろ手に合掌して緊縛された手に、沢田が赤い蝋燭を握らせる。床に這った腰縄の縄尻を拾い上げて、沢田が睦月の顔を見つめた。
「僕が曳き立ての主人役をしよう。縄を曳いて後ろからついていくが、腰縄は気にするな。メルボルンの本番では照明が輝き、八木節の音色も響く。当然、触れ合う距離に沢山の外国人客がいる。すべて気にせず、客を引きつける演技だけに集中するんだ。いいね」
声が終わると同時にライターの金属音が響き、裸の背中に熱い感触が走った。睦月は軽く目を閉じる。まぶたの裏に花道を行く自分が見える。馬子との密通が露見し、厳しい折檻の待つ部屋に素っ裸で曳かれていく、縛られ女郎の姿だ。背面合掌縛りの過酷な縄目を受け、我が身を責め苛む郭の主人の足元を照らすために、後ろ手に蝋燭まで持たされている屈辱の姿だった。一歩一歩絶望へと歩む凄惨な姿がすべての客を引き付け、外の舞台へ誘導するのだ。

「よし、スタート」
力強い沢田の声を聞いて睦月は歩き出した。心持ちうなじを下げ、重心を落として舞うように歩む。背中で灯された大きな蝋燭の明かりが白い肌を妖艶に照らし出す。ふっくらした尻の割れ目の陰影が歩みに連れて揺れる。汗の噴き出した素肌が怪しく光っている。上下を麻縄で緊縛されて高く盛り上がった乳房が震え、突き立った乳首が闇に戦く。睦月は何も思わず、何も考えず、ただ肉体だけになって一心に歩いた。裸身を緊縛した縄目と、背中で合掌した手で握った蝋燭のじりじり燃える音だけが、素肌を通り過ぎる時間を制御していた。
煉瓦蔵側面の扉の前まで歩むと、ひときわ白く稲妻が走った。間髪をおかず耳をつんざく雷鳴が轟く。しかし、睦月の裸身は動じようともしない。連続して闇を貫く稲妻に照らされ、一層妖艶な姿でクスノキの下の舞台を目指す。降り出した大粒の雨が白い裸身を叩き、ストロボライトのように稲妻の閃光が闇を切り裂く。蝋燭からこぼれ落ちた赤い蝋涙が白い背中に点々と落ちた。
睦月の足が雨水に滑り、緊縛された裸身が微妙に揺れる。揺れは足から膝、腰へと伝わり、裸身がよろよろと地面に倒れかかった。思わず片膝をつく。無惨に割り開かれた股間を青い稲妻が照らし、しとどに濡れた陰門の先で赤い性器が悩ましそうに尖っていた。

「ブラボー、ブラビッシモ、それでいい。睦月はハーメルンの笛吹きだ。すべての客が後を追ってくるよ。最高だ」
雷鳴に負けぬ叫びを上げて沢田が睦月に駆け寄る。地面に片膝を突いてうずくまる裸身を、背後から両手で強く抱き締めた。背中で合掌した睦月の手から、雨に打たれて火の消えた赤い蝋燭が落ちた。
「先生、先生」
二度名を叫び、絶句した睦月が首を捻って沢田を見上げる。視界いっぱいに沢田の濡れた顔が広がり、睦月は激しく口を吸われた。沢田の両手が激しく乳房をまさぐる。睦月は緊縛された両手をもどかしく動かし、後ろ手で沢田の股間を探った。一瞬沢田の身体が離れた後、背中で合掌した手の間に熱く燃えた肉の棒が握らされた。睦月はすべての感情を込め、合掌した手で拝むように固く突き立った沢田のペニスを愛おしんだ。

風雨に揺れるクスノキの葉陰の下で、滑稽なほど凄烈なシーンが展開されていた。Mは事務管理室の横で自転車にまたがったまま、しのぎを削る男女の姿を見ている。睦月も沢田も全身から異様な熱気を上げていた。夕立も最盛期を迎えている。十メートル離れた闇の中にたたずむMに、二人に気付かれる気遣いはない。連続して走る稲妻の光が足元までズボンを下ろした沢田の痩せた尻を照らし出す。沢田は中腰になって激しく腰を振っていた。股間からのぞく突き立ったペニスは、背中で合掌した睦月の手の中にある。睦月が両手でペニスをしごく度に、雷鳴に負けない獣のような叫びが沢田の口を突いた。その叫びに睦月の喘ぎが被さる。沢田の舌が睦月のうなじを這い、前に回した手が乳房をなぶり股間を責める。二人の動きがひときわ激しくなった。睦月は両膝を大きく開いて地面に着け、高く尻を掲げて後ろに突き出す。剥き出しの股間を豪雨が洗った。沢田が股間にひざまずき、顔を陰部に押し当てて舌で舐め回す。地面に横顔を押し当てた睦月の口から高いうめき声が流れる。堪えきれなくなった沢田が中腰になり、睦月の尻にペニスを押し当て力いっぱい挿入した。愛液にまみれた陰門を激しくペニスがスライドする。繋ぎ合った肉の間を雨水が絶え間なく洗って流れ去った。
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Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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