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9.祖父(5)

「陶芸屋の裸も見たい。脱ぎなさい」
Mの声に陶芸屋の顔が歪み、頬が赤くなった。
「俺はいいよ。とても見せられた裸じゃない。こうしていられるだけで勇気が湧く。それ以上は要らない」
「ひょっとして、ペニスが役に立たなくなったの」
Mの残酷な声が響いた。陶芸屋の顔が真っ赤に染まる。
「そうだ。勃起するどころか何も感じない。すべてを頭で感じるだけだ」
即座にふてくされた苦渋に満ちた声で陶芸屋が答えた。

「脱ぎなさい」
冷静な声で、またMが促した。
「M、おかしいわよ。さっきから見ていると、病気の小父さんに異常なことばかりするわ。小父さんがかわいそうで、私は見ていられない」
耐えきれずに祐子が叫んだ。全身が微かに震えている。
「祐子は子供に返っておとなしくしていなさい。これは、私たち大人の問題なの。今を盛りの祐子は後学のために、大人のすることをじっと見学しているがいい」
冷たい声で言いきったMが、祐子を睨み付ける。気圧されて引き下がった祐子は力無くソファーに座り、両手で頭を抱え込んでしまった。静まり返った部屋に祐子の啜り泣きが響く。やがて分かる日も来ると思い定め、悲しみのこもった目でMは祐子を見た。大人に訪れる機会は数少ない。陶芸屋はこの一瞬に希望の芽生えを賭けるしかない。今を逃がすことはできないのだ。喪失した機会は二度と来ないかも知れない。もうそれほどの歳月を生きてしまったのだ。

Mは視線を陶芸屋に戻し、裸になるよう無言で促す。陶芸屋が自由になる左手で作務衣の紐を解き始めた。痩せこけた醜い裸身がMの前に現れる。右半身は硬直し、筋肉も落ちてしまっていた。かろうじて生き残った左半身も目を被いたくなる惨状だ。股間に垂れ下がった萎びたペニスは見るに耐えなかった。Mは表情から驚愕を追い払い、毅然とした顔で陶芸屋の全身を見た。たとえ涙が溢れても、目を背けないことだけを強く決意する。すでに陶芸屋も泣いているのだ。涙はちょうどよい潤滑油になる。
「元気がないことは確かね。でも、ペニスはちゃんとぶら下がっているわ。私も舐めさせてもらうわね」
優しい声で言って、Mは陶芸屋の股間にひざまずいた。小さく萎みきって排泄の用しかできなくなったペニスを、両手で愛おしみ唇をつける。
「M、小父さんにはナースがいるのよ。忘れないで」
ソファーから祐子の最後の抗議の声が上がった。
「私はフェラチオが下手よ。でも、ナースは上手。嫉妬に狂ったナースがその気になれば、陶芸屋のペニスも高々と勃起すること請け合いよ」
大声でMが答え、萎びたペニスを口に含み舌の先で転がした。上目遣いに陶芸屋を見ると、落ちてきた涙が目に入り視界が霞んだ。

「ありがとうM。俺もまだ生きられそうだ」
官能に左右されぬ、生の喜びだけが響く声がMの頭上に落ちてきた。
「あたりまえよ」
ペニスをしゃぶりながら、Mは声にならぬ答えを胸の中で言った。家族はいいものだと心の底から思う。耳の底で、幼いころの修太、光男、祐子の笑い声が響き渡った。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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