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4 渓谷(2)

小型のウインチを入れたザックを背負った修太に先導されてMは歩み始めた。縄尻を持った陶芸屋が後に続く。黒のトレーナーとジーンズ姿の親子に挟まれた白い裸身が早春の日に輝いている。
荒れ地を横切って誉川の川岸へと向かう。Mの素足に石くれが痛い。歩を進めるごとに積み重なっていく微かな痛みの集積に、ゆっくりとした速度で官能が疼き出す。
全身に降り掛かる日差しが熱いくらいだった。

Mは背筋を伸ばし、心持ちうなじを垂れ、股間を隠すように内股で歩く。擦れ合う左右の内腿が、いやが上に性感を高める。胸元に目を落とすと、黒い縄で緊縛された乳房の上で固く尖っていく乳首が見えた。

いつの間にか後ろに回った修太が、手に持った竹の物差しの先で意地悪く裸の尻をつつく。切なそうに左右に振られる双臀に味をしめた修太は、今度は尻の割れ目を狙ってくる。物差しの先が肛門に当てられ、歩みに連れて粘膜を割り開く。小さな声でMが喘いだ。
濡れ始めた陰部を不器用に突いた後、竹の物差しが股間で固定された。持ち主が代わったのだ。

日差しを受けて火照った滑らかな肌と、悩ましく腰を振る歩みを見て、耐えきれなくなった陶芸屋が修太から竹の物差しを奪ったのだ。代わりに縄尻を持った修太が楽しそうに前に回り、緊縛された裸身に打った腰縄を曳いて歩く。

陶芸屋の持った竹の物差しが股間深く差し込まれた。見下ろしたMの視線に、燃え上がる陰毛を分けて前方に突き出した物差しが映った。物差しは絶えず陰部に向けて上げられている。性器と肛門を怪しくなぶられながら、Mは尻を左右に振って歩いた。股間を襲う悩ましい痛みが全身に伝わる。陶芸屋は物差しに加える力を微妙に加減したり、差し込む角度を変えたりして、切なく悶える裸身の反応を楽しんでいる。陵辱の待つ刑場に曳かれていく女囚のようだと、Mは思った。

限りなく肌が火照り、汗が滲み出す。じっとりと素肌から染み出した汗が裸身を濡らし、陶芸屋の目を楽しませた。これだけ美しい艶は陶磁器では出せないと、またもや陶芸屋は思い知ってしまうのだった。

いつしか道は、渓谷沿いに急勾配で上っていた。切り立った山が両側から迫り、日差しを遮っていた。眼下に誉川の急流が渦を巻いている。冷たくなった風も、今のMには心地よかった。
歩き始めて三十分も経ったころ、股間をなぶる物差しが急に引き抜かれた。

「着いたよ」と言う修太の声で前方を見ると、錆びて赤茶けた鉄橋が対岸の道路へと続いているのが見えた。長さは十メートルほどで、断ち切った両岸の岩壁を繋いでいる。
突き出した巨岩を回り込んで小道を行くと、高く断ち切られた岩盤の真ん中に、石をアーチ状に積み上げた坑道の入り口が穿たれていた。鉄扉の閉まった入り口の幅は約二メートル、高さは三メートルほどで、意外にこじんまりとしたものだった。アーチの上に、やっと読み取れる文字で通洞坑と標されてあった。

「対岸の道路はかつて、トロッコの線路だったんだよ」
自慢そうに話す陶芸屋の解説を聞き流して、Mは眼下に続く渓谷を見下ろした。
蒼く輝く渓流は、二十メートルほど下で美しく渦巻いている。この荒れ果てた土地に、再び恵みをもたらす命の水だ。
「美しい渓流だろう。元山沢の誇りなんだ。この渓谷を産業廃棄物で埋め尽くそうとするやつがいるんだからあきれる。俺は絶対に許さない」
陶芸屋の興奮した声がMの耳元を掠め、渓流を下っていった。

しばらくの間、吸い込まれてしまうほど熱心に渓流を見つめていたMが、表情を固くした陶芸屋を振り返った。上下を厳しく緊縛された乳房を前に押し出すようにして、毅然とした声を響かせる。
「お願い。私を渓谷に吊して。このままの姿で頭から渓流に向かって吊して欲し
いの」
「そんな、無茶な」
「無茶じゃないわ。修太がウインチを背負ってきたでしょう。それを鉄橋に据え付けて、私を吊り下げて欲しいの。きっと私は、美しいあなた達の渓谷と一体になれるわ。ねえ、お願い」
大声で訴えるMの言葉の中で「あなた達の渓谷と一体になれる」と言った声が、陶芸屋の胸を打った。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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