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8 通洞坑-1-(4)

「泣くのはやめなさい。もうすぐ明るくして上げるから、黙りなさい」
光男は黙った代わりに、頻りに鼻を啜り始める。
十数本の枕木を丁寧に足で探ったが、ランタンは見当たらない。両手が使えればと情けなくなったとき。足先が何かに触れた。
胸のときめきを感じながら後ろを向いてしゃがみ込み、手錠をかけられた両手で空間を探る。やっと両手に持てたランタンのスイッチと思われる部分を、指先であれこれと操作する。頬に当たった水滴にびくっとしたとき、突然ランタンが点った。

三人の周りはまるで昼のように明るくなった。
ちっぽけな蛍光灯がこんなに明るいものとは、今まで気付いたこともなかった。その明るさの周りを漆黒が押し包んでいる。明かりのお陰で逆に、闇が黒く恐ろしく感じられるのだ。
ランタンの光に照らされて、無惨に裸に剥かれた少年と少女が肩を寄せて後ろ手錠のまま震えている。タンクトップの肩先が、ひんやりとするほどの肌寒さなのだ。時折、暗い天井から太い坑木を伝って冷たい滴が頬に落ちる。

三人のいる場所は坑道の分岐点になっていて広々としていた。片側の低くなった部分を、地下水が音もなく流れていた。その先の分岐した狭い坑道の入り口付近には、直径二メートルほどの池ができている。

「さあ、明るくなったでしょう。もう怖くはないわ。私はM。みんなの友達の修太と住んでいるのよ、だからみんなとも友達。いいわね」
元気に声をかけると、やっと光男の顔に微笑みが浮かんだ。祐子の顔も嬉しそうに和んでいる。

「ところで修太はどうしたの」
Mが聞くと、途端に一歩踏み出した光男が口を尖らせて話し始めた。
「修太は、センセイと一緒に学校で縛られているよ。でも、あいつは狡いんだ。自分のことを光男だって、あの眉なし女に言ったんだ。だから、僕が修太にされて、こんな目にあってしまったんだ。でも、僕後悔しない。修太も恨まない。祐子と一緒だからそれでいいんだ」
皮の被った小さなペニスを振り立てて、まくし立てる。まだ子供の身体から抜けきっていない幼い裸身だ。
「そう、祐子と一緒で良かったわね。でも、もう少し男らしくなれると、祐子が喜んでくれるかも知れないね」
光男の頬がさっと赤くなり、肩が落ちた。隣の祐子を横目でうかがう。祐子の方が五センチメートルは背が高い。頻りに光男に背を向けようとしている。明かりが点いたため、裸を見られるのが恥ずかしいのだ。もう、かなり少女に成長した裸身だった。胸が膨らみウエストのくびれが目に付き始めていた。腰つきも立派になり、股間にうっすらと陰毛が萌えだしているのが見える。

「寒いでしょう。さあ、二人とも私の所に来なさい」
声をかけると二人してMの身体に寄り添った。光男が前に回り、祐子が背後に回った。全員が後ろ手錠をかけられているため、抱き合うこともできず、猫のように身を擦り寄せるばかりだ。子供たちの肌が冷たかった。
「ここは寒すぎるわ。みんなで入り口の所に行きましょう。あそこなら、少し光が入るし暖かいわ。しっかり私についてくるのよ、いいわね」
後ろ手にランタンを持ったMの後を、裸の子供たちが追う。ユーモラスな図だが、子供たちは歩きやすいはずだとMは思った。

出口を閉ざした鉄の潜り戸の前にMと光男は腰を下ろした。
「ほら、暖かいでしょう。外の光も少し入ってくる。閉じこめられてしまったけど、すぐ助けが来るからね」
Mが明るい声で言うと、光男が怯えた声で応える。
「そうかなあ。また、あの怖い眉なし女が来るかも知れない。だってあいつが鍵を持っているんだ」
「あの人はもう来ないわ。私が懲らしめたのを知っているでしょう。私が一緒にいれば大丈夫よ」
「それはそうだけど。僕らがここにいることは誰も知らないんだ」
「悲感的にならないの。私がここに来ることは修太のお父さんが知っているんだから、きっと捜しに来るわ」
言ってみてから時間が気になった。陶芸屋が捜しに来るとしても、きっと日が落ちてからだと思った。産廃屋の方が早く来るに違いないと確信したが、子供たちに言うわけにはいかなかった。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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