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4.虜囚(7)

「一週間もすれば、Mにも修行のありがたさが分かるだろう。M、十分反省しなさい。弥生もよく指導してやれ」
「はい」
Mの横で弥生が答えると、オシショウは極月を従えて満足そうな足取りでピアニストたちの所へ去って行った。弥生が尻を動かし、股間からあたりに人影がないか見回す。近くに人がいないことを確認してから遠慮がちに小声で話し掛ける。

「M、二か月は長いわ。頑張ってね。この懲罰はシュータでも三日間しか続けたことがないの」
「弥生が三日を耐えたの」
「いいえ、私は懲罰を受けるのは初めて。でもきっと耐え抜いて甦ってみせる。私は希望がないMが心配なの。この懲罰はまるで拷問だものね。辛くて恥ずかしいわ。希望がないと、とても二か月は耐えられない」
「私には希望なんてない。どんなときもその場その場で頑張ってきた。でも今は、弥生のような若い肉体に比べられて戸惑っているの」
「私の身体など気にしなくていいのよ。Mは、Mにとって滅びが惜しいように鍛えればいい。神ながらの道は相対的なものよ。凄く科学的な教えなの」
弥生の言葉を聞いて、Mは黙り込んでしまった。この信仰は既に二人の命を奪っているのだ。きれい事で済むわけはなかった。説教が空しく耳に響いた。
二人は反省のポーズを二時間続けた。素肌を深々とした冷えが押し包む。もう夜明け近い時刻に思われた。部屋の奥で小声で続けられていた会議が一段落し、大きく伸びをする数人の声が会議室に響いた。

「もうじき夜明けだ。見張りは二時間交代で厳密にやれ。今日の予定のない者は静かに眠ってくれ。正午にレポの車が来るので、移動の準備がある者は警戒に警戒を重ねて行動して欲しい。次のミーティングは午後九時から。以上」
ピアニストの疲れ切った声が響き、修太の声が続いた。
「レポの車が出発したらすぐ、携帯電話でそれぞれの部下に移動の準備を整えさせてくれ」
特に必要と思えない指示だが、幹部を直接指導する修太の矜持が込められていた。椅子を動かす音がひとしきり響いた後、部屋に静けさが帰ってきた。音を潜めて数人が動き回る。霜月が最初の見張りとして一階に下りた。毛布を二枚抱えた極月がMと弥生の後ろに立ち、二つの尻を見下ろす。

「就寝の時間よ。二人とも反省のポーズを解いて壁に向かって立ちなさい」
弥生は器用に両足で手錠をまたぎ直して立ち上がる。Mは痺れきった身体を震わせながら、やっとの思いで片足ずつ手錠をまたいだ。弥生に一分も遅れてから壁に向かって立った。尻から太股にかけての筋肉が無様に震える。まるで贅肉が揺れているようで情けない。

「虜囚のMには逃亡の恐れがある。就寝の間は二人の肛門栓を鎖で繋ぐことにする。弥生はMをよく見張りなさい」
「はい」
弥生が答えると、二人の尻から飛び出た球体の突起が長さ一メートルの鎖でそれぞれ繋ぎ止められてしまった。

「弥生、肛門栓が似合うよ。味はどうかしら」
修太とともに近寄ってきた睦月が冷たい声で言った。
「きっと睦月が三日間、肛門に入れていた栓が当たってしまったらしいわ。お腹を壊しそうよ」
かつて無断で報道機関と接触した罪で、三日間の懲罰を受けた睦月の顔が怒りで赤く染まった。広報担当の立場から告発した弥生を、睦月は今持って憎んでいるのだ。

「そう、私は三日間だったけど、弥生は二か月。永遠に思われる時間を恥ずかしい格好で反省するがいいわ。股間のリングもよく似合っているわよ」
捨てぜりふのように言ってドアを開けた睦月の後ろで、修太がMに呼び掛けた。
「M、弥生に良く仕付けてもらってふやけた身体を鍛え直すといい。使用前、使用後のダイエット・モデルが並んでいるようでみっともないよ」
Mの頬が赤く染まったが、即座に言い返す言葉が浮かばない。不用意のまま、手酷く打ちのめされてしまったのだ。
「毛布は弥生の分が二枚あるきりよ。二人で工夫して使いなさい。一階に下りない限り行動は自由。後は弥生の良識に任す」

毛布を床に置いた極月が告げ、ドアから出ていった。女性と男性の部屋に別れるらしかった。二人は男性の部屋に残された。部屋の奥から好奇の視線が注がれてくるようで、Mは身体がむず痒い。
「M、休む準備をしましょう。肛門栓を繋いだ鎖の長さは一メートルしかないわ。息を揃えて一緒に行動しないと手酷く痛め付けられる。いい」
前手錠に戒められたまま壁の前に立った弥生が、同様の姿のMに小声で囁く。
「まず床にしゃがみ込んで毛布を取るの。一枚を床に敷き、もう一枚に二人くるまって寝ましょう」
Mに合図をして弥生がゆっくり屈み込んだ。二人の股間から垂れ下がった鎖が音を立てる。Mの動作が少し遅れた。一メートルの鎖が張り切り、二人の肛門を激痛が襲った。

「ウッ」
ぴったり息の合った呻きが二人の口を突いた。思わず苦笑が浮かぶ。Mと弥生は敷いた毛布に背中合って横たわり、もう一枚の毛布にくるまって寝た。背中の間を夜明け前の冷気が走り抜ける。どちらからともなく身を寄せ合い、背中をぴったり合わせた。Mの柔らかな背と弥生の引き締まった背の間を、お互いの体温が行き来する。思い切って足を絡ませ、お互いの尻を擦り寄せると肛門栓同士がぶつかり合って不気味な金属音が響いた。
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Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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