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6.山岳アジト(5)

極月に曳き立てられたMは、廊下の突き当たりの広間の端で正座するよう命じられた。広間は二十人ほどが集まれる広さで、厚い組木でフローリングされている。トレーニングルームのような雰囲気があった。Mは冷たい床の上に膝を折って正座した。目の前は横長の窓で、床から三十センチメートルの所にステンレスのパイプで手すりが設けられている。窓の上には鉄棒が渡されていた。

「膝を開きなさい。しばらく忙しいから、ここでMを拘束する」
極月の命じる声が頭上に落ちた。またしても屈辱的な指示だ。Mは頬を赤く染めて左右の膝を開いた。股間があらわになり、黒々とした陰毛の間で陰門を封鎖した金色のリングが光った。極月がMの横に屈み込む。股間に手を差し入れ、肛門栓に繋いだ鎖を引き出す。短い鎖を目の前のステンレスのパイプに潜らせて、股間のリングに繋ぎ止めてしまった。もうMは立ち上がることができない。許されるまで正座した姿勢を続けるしかなかった。噛みしめていたスカーフを落とすと、ちょうど股間が隠れた。祐子の好意のように思われて泣ける。

「鎧戸を全部開けてくれ、窓は無反射ガラスだから日に反射する心配はない。トイレは使ってもいいが、水は飲むな」
ピアニストの指示がログハウスの中に響き渡った。それぞれの部屋で窓を開く音が聞こえる。極月が目の前のカーテンを開き、窓を開けて鎧戸を押した。明るい日射しがMの目を打った。もう夕刻近いはずだった。それでも明るい外光に照らされて、Mは無心に弥生の到着を待った。これほど人に焦がれたのは生まれて始めてのような気がした。不安な十五分間が過ぎ、眼下に広がる枯れ草の斜面の果てに白いパジェロが現れたとき、Mの目からまた涙がこぼれた。近付いてくるパジェロの車窓に、先ほどまでのMと同じように中腰になった弥生の裸身が見えた。Mの口元に微笑みが浮かび、痛む肛門が切なく疼いた。後続車の到着で、ひとしきり玄関が賑やかになる。無事に合流できたことを喜ぶ華やぎさえ伝わってきた。素っ裸で正座して、ざわめきに聞き入るMの背後に人の気配がした。うなだれていた首を起こし、背筋を正すと同時に背後から肩を抱かれた。後ろ手に縛られた両手が裸のウエストに触れた。温かな素肌の感触が胸に響く。

「やっと一緒になれたわ」
振り向いたうなじに弥生の優しい声が掛かり、両の乳房が強く握られた。Mの全身から緊張が去り、胸が熱くなる。思わず涙が流れた。
「辛い仕打ちをされたようね。負けてはだめよ」
妹を励ますように弥生が言ってMの横に座る。Mと同様素っ裸だったが両手は自由だ。ステンレスのパイプに繋ぎ止めた鎖を悔しそうに右手で摘んだ。
「すぐ外してもらうわ。手錠も反省時間以外は必要ない。そうでないと二か月は持たないわ。ぼろぼろにされてしまう」
弥生の興奮した声を聞いたMが、やっと冷静さを取り戻す。
「弥生は二か月でも私は違う。警察に救出されるまでずっと続くわ」
立場の違いを思い知らされた弥生の顔が曇る。
「だいじょうぶよ。私がいるわ」
きっぱりと言った弥生が立ち上がり、大きな声で極月を呼んだ。黒いアタッシュケースを下げて忙しく広間に入ってきた極月に、弥生が厳しく抗議する。

「Mの手錠と鎖を外してください。Mの処遇は私と同じだとオシショウが命じたはずよ」
極月に続いて広間に入ってきた睦月が弥生の言葉を聞いて眉をひそめた。憎々しい声が広間に響く。
「反省中の弥生に勝手なことを言わせてはだめよ。Mと同じ格好にしてやればいい。極月は甘すぎると私は思う」
「私の仕事に干渉しないでよ。睦月に指図される所以はない。弥生の処遇は私の流儀でさせてもらう」
睦月を振り返った極月が厳しい声で言った。弥生の口元が思わずほころぶ。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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