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6.山岳アジト(3)

「文月、車を止めてくれ」
ピアニストの大声が響いた。激しい揺れが収まり嘘のように車内が静かになった。ピアニストと修太が座席の左右に離れる。床に横たわったMを極月が引き起こした。
「もうちょっとの所で我慢がきかない。いかにもMらしいね。シートに座ると、もっと悲惨な目に遭うよ。大きく足を開いて踏ん張って立っているしかない。大きな尻を目の前にする極月には申し訳ないが、肛門栓をよく観察して職務に役立ててもらうしかないね。Mに代わって僕が謝っておくよ」
後ろ手の手錠を鳴らして腰を曲げて立ち上がったMに、ピアニストが笑い声で言った。修太がウエストを縛った縄を解いて毛布をはぎ取る。豊満な裸身が現れ、車内が急に狭くなった感じになる。

「行ってくれ」
ピアニストの声とともにエンジンが唸りを上げ、大きく車体が揺れた。白い裸身が転げそうになる。Mは両足を大きく左右に開き、豊かな胸を前のシートの背に預けた。股間のリングが情けなく揺れる。突き出した尻の割れ目に極月の息が掛かりそうでむず痒く、恥ずかしい。だが、シートに座って肛門栓の衝撃に責め苛まれるよりは余程ましだった。猿轡をきつく噛みしめて屈辱に耐える。極月は憮然とした顔で押し黙り、すぐ目の前で揺れる尻の割れ目をじっと見つめた。車の振動ごときに耐えられないMが憎らしくなる。だが自分の担当する虜囚の尻だった。仕方ないと思い、諦めて目をつむった。股間から漂うMの体臭がきつく鼻孔を襲う。ウッと短く極月が呻き、横を向いた。腰を曲げて突き出したMの尻に極月の硬い髪が触れた。極月の気持ちを察したMの全身が羞恥で赤く染まる。もう二日も風呂に入っていなかった。両の乳房をシートの背に痛いほど押しつけて尻を引いた。すぐ目の前にフロントガラスがある。熱く火照った顔で一心に外を見つめた。山に囲まれた風景が激しく揺れる。小川になった細道を抜け出し、パジェロは開けた谷沿いに緩やかな山肌を回り込んでいく。激しい振動がやんだ視界に谷川を挟んで大きな盆地が見えた。広さは市の野球場ほどもある。背後の緩やかな斜面は松林になっている。ひときわ高い赤松の巨木の陰にログハウスが見えた。松林に溶け込むようにひっそりと建っているが、街の建て売り住宅より大きい。

「コスモス事業団の理事長の遺産だよ。ドーム館と並行して建設を進めたものだ。地域を変革する計画が停滞するようなら、いつでも山籠もりをして練り直すと言っていたよ。結局、一度も使うことがないまま死んでしまった」
ピアニストが珍しく感傷的な声を出した。じっとログハウスを見つめる修太の目が潤む。

「凄いね、ピアニスト。話には聞いていたけど、想像していたよりずっと規模が大きい。さすがは理事長だ。でも、なぜ誰も知らなかったんだろう」
修太の問いに、Mも耳を澄ませてピアニストの返事を待った。理事長の個人的な遺産はすべて、チハルと祐子が相続したはずだった。
「ログハウスのことは、建設した都会の業者以外は僕と本部秘書の飛鳥しか知らない。理事長が極秘に建設したものだ。山奥にも関わらず設備は万全だよ。資産リストにも載せていない。このまま朽ち果てても惜しくなかったのだろう。チハルに話さなかったくらいだから、男の遊びだったのかも知れないな」
ピアニストが遠くを見るような目で言った。目の中に冬枯れの山と青い松林、どっしりとしたログハウスが映っている。パジェロは谷川を渡り、枯れ草をかき分けて、まっすぐログハウスに向かった。太い丸太を贅沢に使って組み上げたログハウスは、床を高く取って正面に広いテラスを巡らしている。建物全体が暗い緑色に塗られ、窓に下りた鎧戸は褐色だった。迷彩を施した軍事施設のように周囲の松林に溶け込んでいる。まさしくアジトだった。
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アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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