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5.友の肌合い(4)

「M、慎重に歩かないと股間が裂けるわ。睦月の意地悪ごときに挑発されてはダメよ」
「分かっているわ。弥生の代わりに腹を立てただけよ。とても仲間にする仕打ちとは思えない」
弥生の裸身が寂しそうに震えた。今度はMが弥生の腰を尻で突いた。それを合図に二つの裸身が寄り添ってドアを出る。股間にぶら下がったリングを繋ぐ鎖が弧を描いて垂れ下がり、二人の歩みにつれて隠微に揺れ動いた。薄暗い廊下を五メートルほど歩くと二階のトイレの前に出る。弥生がドアを開け、Mは狭さに驚く。畳半畳ほどの空間に置かれた白い和式の便器がわびしい。壁に穿たれた小さな窓にはブラインドがなく、冬の午後の光が曇りガラスから差し込んでいる。暗がりに慣れた目には明るすぎるトイレだった。白々とした光に照らしだされた裸身を、思わずMは見下ろしてしまう。唐突に、消え入ってしまいたい気持ちになった。リングをぶら下げた贅肉のついた裸身が恥ずかしかった。同じ格好でも、鍛え上げられた美しい弥生の裸身と比べると、情けなさがひとしお募ってしまう。

「二人並んでいると、狭すぎて用を足せないわ。私が後ろ向きで奥に行くわね」
Mの気持ちにお構いなく、向かい合った弥生がゆっくり後ずさっていく。リングを繋いだ鎖が張り詰めていき、二人の股間が鋭く痛んだ。Mは後ろ手にドアを閉め、弥生に曳かれて便器をまたいだ。

「静かに屈みましょう」
弥生の合図にMがうなずき、ゆっくりと尻を下ろしていく。弥生は便器と壁の間の狭い空間にしゃがみ込む。Mはできるだけ便器の後方にしゃがんだ。尻が便器の後ろに出てしまっているようで不安になる。二人とも大きく両膝を広げ、狭い空間に入り込もうと努めた。広げきった膝頭が痛いほど密着する。弥生の股間が便器に触れ、リングが陶器に当たる音とともにウッという呻きが洩れた。
「弥生、大丈夫」
眉間を寄せた弥生にMが問い掛ける。二人の顔の間は三十センチメートルと離れていない。
「ええ、大丈夫よ。苦しい姿勢だけど用を足してちょうだい」
二人の股間の間で垂れ下がり、便器に溜まった水の中に沈んでいる鎖を手探りでたぐり寄せた弥生がMを促す。弥生の優しさが身に滲みるが、Mに用を足す気はない。修太との行きがかり上、トイレに来る羽目になってしまっただけだった。しかし、今更言い出しかねて、Mは言葉を探す。

「こんな格好で二人でいると、不思議な気分になるわ。トイレにいる気がしなくて便意もなくなってしまう」
Mは困惑した声音を装って言い、乳房の下に置いた両手で弥生の両手を握った。二人の手枷の鎖が鳴る。そのまま両手を上げ、弥生の手だけを頭上に残して手を下ろした。下ろした両手を弥生の胸元に当て、ふっくらとした右の乳房を包み込む。上を向いた乳首を右手で摘み左手で乳房をもみ上げる。手枷の鎖が鳴り続け、柔らかだった乳首が固くなって突き立ってきた。戸惑った顔をしていた弥生がMの首に両手を回してから、そっと瞼を閉じた。どんなときでも、どんな場所でも性は刺激に応えるのだとMは改めて確信する。リングをはめられた股間から勇気が湧いてくるのが分かる。

「弥生、あなたたちの信仰に未来はないわ。行き着く当てのない道を捨てて私と一緒に元の世界に帰ろう」
優しく愛撫を続けながらMが言った。閉じられていた弥生の目が開き、思いの外静かな声がMの耳を打つ。
「いいえ、信仰には未来があるわ。私たちに未来はなくともね。すべてが滅び去った後に花開く美しい世界が、私には見える」
「それはきっと妄想に過ぎないわ。いくら現実が醜く耐えられなくても、妄想よりはすてきよ。だって手で触れられ、共感することができるもの。こんなに耐え難く屈辱的な目にあっても、弥生の性は私の愛撫に共感しているわ。本当にすてきなことよ。この性は決して妄想ではなく、どんな屈辱にも恥辱にも打ち勝つことのできる現実なのよ。ねえ弥生、もう一度、元の世界に戻ってみない」
手枷で戒められた弥生の両手がMのうなじを抱いた。そのままMを引き寄せ、迷いのない目でMの目を見つめる。弥生は静かに首を左右に振った。
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Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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