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6.義父母(5)

Mは突き刺さる春の日射しを全身に浴びた。木々の緑と空の青が目にまぶしすぎるほどだ。股間を割った縄目の痛さに狭い歩幅で尻を振って歩く。裸身の至る所に浮き上がる赤黒い鞭の痕が痛々しい。うなだれて歩く目に剃り上げた股間が見える。二本の縄目に挟まれて突き出た性器の先が強い日射しに透けてしまいそうだ。目を上げると庭の真ん中に並んだ太い梅の木が見えた。
「この枝に逆さに吊すわ。縄を引くのはあなたしかいないから、片足吊りにしましょう」
Mの足元にうずくまった歯科医の妻が右足首を太い麻縄で縛り上げた。服と靴を地上に置いた歯科医が、妻に命じられるまま足首を縛った縄を頭上の太い枝に回した。
「さあ、力いっぱい縄を引くのよ」
苔むして湿った柔らかな地面に仰向けに寝かされたMの耳に合図の声が聞こえた。歯科医がゆっくり縄を引き始める。右足が徐々に上がり、斜めに腰が浮かび上がる。なおも引き上げられる足の痛みに悲鳴を上げ、後ろ手に縛られた裸身を震わせて悶えた。十五年前と同じ責めだったが左足を吊り上げる役目のピアニストはいない。右足を襲う痺れるような痛みがピアニストの不在を改めて肉体に教える。止めどなく涙がこぼれ落ちた。

突然、疎水の向こうの道路でクラクションが鳴った。初めは遠慮がちに鳴ったクラクションがやがて大きな音で鳴り響いた。誰かが折檻を見咎めたようだった。
「ドーム館の娘の車だわ。生意気に、いいところを邪魔する。あんなにクラクションを鳴らしたら近所の人が出て来るわ。私たちは家に入りましょう。息子を奪ったMをこれだけ懲らしめれば我慢もできる」
憎々しく言った歯科医の妻が、行き掛けの駄賃とばかりに逆立ちになった尻を力任せに蹴った。悲鳴が上がり、不安定に吊り下げられた裸身が大きく揺れた。たわわに茂った梅の枝葉も一斉に震える。葉陰からこぼれた小さな毛虫が白い裸身を掠めて落ちた。開ききった股間に三匹のイラガの幼虫が入り込んだ。三匹の幼虫は苦痛に悶える太股を毒針で刺した。瞬時に股間から脳に電撃が襲う。電気虫と呼ばれる毛虫の針から出た毒液は痛烈な痛みをMに見舞った。悲痛な叫びが春の山地に響き渡った。
歯科医の妻が笑い声を残して引き上げていく。歯科医がMの股間を婚姻届の用紙で被い、妻の後に続いて蔵屋敷に戻っていった。あまりの痛みに全身で悶える耳に駆け寄ってくる足音が聞こえた。祐子が来ると思った途端に緊張が解け失禁してしまった。

「やはりMだったのね。待ってね、すぐ縄を解くわ」
息を切らせて走り寄った祐子が梅の幹に縛り付けた縄を素早く解く。音を立てて裸身が地上に落ちた。
「M、ごめんなさい。私の力では支えきれないの」
横たわるMの前にうずくまった祐子がそっと裸身をなでる。剥き出しの股間をのぞき込んで眉をしかめた。
「股間を電気虫に刺されているわ。針を抜くから大きく足を広げていてね。かわいそうに、性器を刺されている。でも、股縄がガードしていたから他は内股だけよ。不幸中の幸いだわ。ピアニストの両親は最低。MもMよ。結婚なんてしてやらなければいいんだ。ピアニストの家の前を通る度にのぞき込んでいてよかったわ。M、もうちょっとで殺される所よ」
「祐子、もういいのよ。歯医者さんに結婚を承諾してもらったわ。お願い、すぐドーム館に戻って封筒と切手を持ってきて。婚姻届をピアニストに速達で出したいの」
素っ裸で後ろ手に緊縛されて横たわり、大きく股間を広げたMが祐子の話を無視して懇願した。泣き笑いになってしきりに頼む顔をのぞき込んで、祐子は絶句してしまった。土と涙で汚れた顔に確かな官能のきらめきが浮かんでいた。
プロフィール

アカマル

Author:アカマル
http://prima-m.com/
官能のプリマ全10章
上記サイトにて公開中。

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